前提条件
まず、この2人の行動や反応の前に共通していることとして、今回は61巻で蘭と園子が沖矢にバッタり出会った時と違い、コナンが先に新一の家に到着していたことも考慮に入れる必要がある。
コナンは急いで新一の家に入り写真を探し出したと思われるが、もしかしたら、コナンは沖矢に蘭や世良がもうすぐ来ることを教えていたかもしれない。
教えていなくても、大急ぎでバタバタと写真を探し出したことに気づき、これから起きようとしていることを予測していた可能性もある。だが、コナンが何かしているのには気づいたが、その後にすぐ蘭たちが来てしまった、全く気づいていなかったというケースも、もちろん残される。
もう一つ、世良と沖矢は今回が直接対面するのは初めて。コナンが誘拐された事件の時に見かけてはいるが、世良は安室に会いたかったがあの時は状況的に無理だったことを話しているので、沖矢に関しても同じであったと思われる。
沖矢は警察と会うのを嫌がっているし、灰原を運転で送る必要があり、あの状況では先に帰らせるほうが安全でもある。恐らく事情徴収はコナン達に任せて先に帰っただろうと考えると、安室以上にあの場で沖矢と話すのは厳しいだろう。
・沖矢は事前に状況を察知(聞いた)可能性がある(突然だった可能性もある)。
・世良は沖矢を見かけてはいるが、話したことはなく詳しい状況は知らない。
沖矢の首に何もなかった件
灰原だけでなく、園子にまで首に何か隠してると思われていたが、園子が見た分には何もなかったようである。
灰原には首に変声機を隠しているという疑いがもたれている?が、まさか「首に変声機をテープでくっつけているところが丸見え」とかはないと思うので何もなくて当然ではある(笑)
普通に考えれば、首まで覆う時に服の裏に止めているんじゃないかと… テープで首に貼って場合でも、服を脱いだときは外すだろうし。
沖矢は歯を磨いていたため、「ん!」「ん!」としか声を出していない。普段は変声機を使用していたとしても、あの場は切り抜けられたので問題ない。
後だしで首になにか古傷があるとかもありえるかも。灰原が沖矢のマフラーを脱がそうとした時は、それを知っていて確認をしようとしたが、世良はそれを見てしまって驚いたとか。まあ、こういう後出しは推理不可能だし、沖矢が意味ありげにくしを取り出したことがつながらなくなってしまうのだが…
沖矢が右手を使っていた件について
今回のシーンは61巻で蘭と園子が沖矢に出会ったシーンと同じ。しかし、歯を磨く手が左右逆になっている。(今回は右手)これまでの複数の根拠から、沖矢は左利きと分かっている。(コミック61巻のペンを持つ手や、66巻の箸を持つ手などがヒント。)
現実的には、たった一度右手で歯を磨いたところで右利きだということはないし、歯磨きなんてどちらの手も使うのだが、あえて同じシーンを持ってきたことが、何かを暗示するために意図的に描いたのでは?という線。
別人説
この沖矢は誰かの変装。この後で新一の家に女が出入りしていることが明らかになることから、これは工藤有希子では?という可能性。後に現れる沖矢はかなりの推理力を持っているため、本物である。
しかし、小柄な有希子が体格の良い男性に変装する時、首から胸元まで開けたあの服装では厳しいのでは?とも考えられる。ベルモットが細身の新出先生に変装した時も、空気で肩幅や胸に厚みを持たせている。
そして、あの場面で有希子が沖矢に変装して出て来る意図が不明。ありえるのは、園子にまで「首に何かを隠している」と怪しまれていたため、自分が赤井の変装でないと思わせるためであろうか。
だが、蘭は沖矢を「誰かに似ている」と以前発言したものの、所詮その程度で、赤井とは全く気づいていない。首元を晒したところで、そこに変声機をしかけて変装しているなんて想像もしていないだろうし、利き手をごまかしたところで同様。蘭は探偵ではない。園子は当然無関係。
世良はどうなのかと言うと、2人は今回初対面。世良が沖矢=赤井を疑う機会はこれまでなかったのでは?とも思える。その場合、今の段階でわざわざ有希子に変装を頼んでここまでする必要はない。
世良がいくら探偵だからといって、「歯を磨く手が右だったから、彼は右利きで左利きである赤井ではない」なんて考えるのはさすがに展開として無茶。それに、コナンは利き手を判断する時は複数の根拠から推測する。
「首元に変声機を隠してなかったから」ということに関しても、あの時はっきりと話したのならともかく、「ん!」「ん!」としか言っていない。
そのため、「変声機なしで話したから変装ではない」と推理させることはできない。それに、以前考察した部分だが、これまでのケースから判断すると、有希子はベルやキッドと違い変声機なしで声を変えるほどの変装技術は持っていないようである。
最初から「ん!」としか言わない予定だったのなら、わざわざ有希子がやる必要もなく沖矢本人で十分。普通に考えれば、ここはむしろ変声機がなかったが、歯を磨いていたためうまくやりすごせたというシーンだろう。
そして、蘭や世良が新一の家に来るまでに短時間しかなかったこと。これも以前のケースから判断すると、有希子はキッドと違い変装に時間がかかるようであり、コナンが事前に電話して教えたとしてもかなり厳しいのではと思われる。
たまたま・わざと
「たまたま」であった場合は特に意識する必要もないだろう。「あえて右手を使った」という場合。
自分があえて右手を使う事で、赤井は左利きなので赤井ではないと思わせる仕掛け。蘭は赤井が左効きなんてことまで知らないだろうし、沖矢の利き手なんて特に意識していないだろう。
鋭い世良なら気づくかもしれないが、変装の場合と同様に沖矢=赤井と疑う機会はこれまでなかった。それに、世良は火傷赤井を見たときに「いるはずないのに」と言っている。つまり、赤井は死んだと思っているので、この沖矢が赤井だと疑っていることが不自然である。
そんな世良に対して、オレは赤井じゃないぜーと右利きアピールするのは先走りしすぎ。利き手がバレてからではこの作戦は使えないのだが、一度これで右利きアピールしたら今後ずっと右手を使わなければならないことになってしまうというアホ作戦だったりする… となると、右利きアピールという可能性は低そうである。
右手しか使えなかった
結局、単純にこの可能性が一番高そうなのだが、沖矢は世良がドアを開けた瞬間は洗面台に左手を置いている。だが、その後すぐに不自然に左手をポケットに突っ込み蘭達と話す。そして、左手ではなく、歯ブラシを口にくわえて右手を空け、右手で指を差して説明を始める。(普通は空いている左手で指差せばいいだけである。)
その間も世良がドアを閉めるまでポケットに手を突っ込んだままであり、世良がドアを閉めたのを確認した後に、ポケットからくしを取り出して「シャっ」と回転させる。これ意味不明(笑)
歯磨きをしながらポケットに手を突っ込み、指を差す時も頑なに左手はポケットからは出さない。ドアが閉まったことを確認してから左手でくしを取り出す。この行為の間は、左手はふさがっていたので使えなかったということになるだろう。
ここの描写は非常に分かりにくいのだが、「最初に手をついていた⇒ポケットに手を突っ込み、出すときにくしを取り出した」という流れだと、左手は空いていたことになり、右手で歯を磨く必要はない。(左手はふさがっていない)
それに、あのタイプのくしをポケットに入れていたら、くしが折れてしまうかもしれないし、運が悪いとポケットに穴が空いたり、膝にささるかも(笑)
実は、アニメ版を見ると分かりやすいのだが、くしは袖の中に入れている。
わざわざポケットから出す際に袖に入れたということはないと思うので、最初から袖の中に入れていたと思われる。ポケットの中に手を入れたのは、洗面台からを手を離した時にそれが落ちないためであろうか。
世良がドアを開ける前の描写はないのだが、恐らく、「左手にくしを持っていた⇒音がしたので慌てて袖の中に隠して手をついた⇒蘭に説明するために起き上がり、手を離すが、くしが落ちないようにポケットに手を入れた」という流れが想像できる。そのままくしが落ちないようにすると、変な向きに手を曲げることになるので不自然でもある。
これなら、左手がふさがっていたので歯を右手で磨いていたという説明がつく。
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