コナンと海老蔵【歌舞伎十八番ミステリー】まとめと感想

sponsored link

「これ、細尾さんのボタンだよね」

・・・

コナンにボタンを突きつけられた細尾は、腕を上げてジャケットの袖口を見た。
その袖口には、二つのボタンがしっかりと付いている。

・・・

勝ち誇ったようにバッハッハ・・・・・・と高笑いする細尾を、ゆかりは呆然と見つめた。
昨日── 細尾がジャケットを着替えたのは、商談に出かける前だ。
小五郎を打ち合わせエリアで待たせていて、社長室を出ようとしたとき、ゆかりが気づいたのだ。ジャケットの袖口のボタンがひとつ取れていることに── 。
呆然としているゆかりを見て、細尾はニヤリと笑った。そして小五郎を見る。
「あなたとホテルに行くとき、私は新しいジャケットを着ていたでしょう?ボウヤ!いつそのボタンを取ったんだい?おじさんに聞かせてくれるかい?」
ボタンが取れていたのは、商談に出かける前に着ていたジャケットだ。コナンが拉致されたときにジャケットのボタンを取ったというのなら、社長室で着替えた新しいジャケット── すなわち今着ているこのジャケットのボタンがなくなっているはずだ。
「あああ」
コナンがうろたえるのを見て、細尾は口の端を意地悪くゆがませた。
── 完壁だ。証拠なんてないのだ。私が金子を殺した証拠なんて、どこにもないのだ・・・・・・!! P177-179

全然完璧じゃない件。

「子どもまで使って金子殺しまで私の犯行だとしたいのかあ!?」
細尾はここぞとばかりに小五郎を非難した。
すると、コナンが「ねえ、小五郎のおじさん」と小五郎に括しかけた。
「ボク、いつジャケットって言った?ひどいよね」
そう言って、コナンはプイッと座席に顔を引っ込めた。
「細尾さん。コナンはかぶせられたものとしか言ってませんよ」

・・・

拡大されたエンジンルームのパーツに小さな丸い物が引っかかっている── 。
「これが高橋さんが亡くなった車のエンジンルームに落ちていたあなたのボタンです」
コナンに言われて、細尾はハッとした。
あのときに落ちたのか。
車で待たせていた高橋の首を絞めて殺害し、その首にヒモを巻き、運転席の窓の隙聞からエンジンルームにヒモを引き込み、ラジエーターの電動ファンに巻いたのだ。そして、指紋を丁寧に拭き取った。
そのとき、ジャケットの袖口がエンジンの部品に引っかかって、ボタンが落ちたのだ。

・・・

今度は踏切の画像だった。細尾の車があわや突っ込みそうになった、あの踏切だ。
踏切の横には── 黄色いプラスチックのドラム缶のような物がたくさん並んでいた。車両が誤って衝突したり接触した際の衝撃を緩和吸収するウォータークッションだ。
「踏切の横のウォータークッション、ここに突っ込むつもりだったんだ~」 P180-181

推理ショーで犯人の口を滑らせるのはコナンお得意の手法。細尾は高橋を殺害する時に、エンジン部分にジャケットのボタンを落としていた。

また、コナンが事故現場で気づいたのは、踏切の横にウォータークッションが並べてあったこと。

細尾のガレージの写真だ。
ガレージの棚には工具やオイルが並び、その中にビニール手袋がある。
「あなたのガレージの中です。オイルで手が汚れないように使い捨てのビニール袋が見えます」

コナンに頼まれてコンビニの防犯カメラや細尾のガレージを調べた白鳥が言った。

・・・

「これは以前あなたの嘉務所が入ってたビル。今、解体中のビルですよね」
千葉が言うと、今度はそのビルの地下フロアの画像に切り替わった。
壁一面にモニターがずらりと並び、その前には大勢の社員がパソコンに向かっている。

「地下のフロアがスタッフルーム・・・・・・詳しいわけだ」

・・・

さらにスクリーンの画像が切り替わった。
細尾らしき人物が床に落ちた紙切れを拾い上げようとしている画像だ。
「これは?」
海老蔵がたずねると、目暮が答えた。
「岩見さんのメモを拾っている細尾さんです」
「それをロッカーの部屋に・・・・・・」
岩見に疑いがかかるように、細尾はロッカールームに置いたのだろう。
歌舞伎座の警備状態を熟知していた細尾は通用口から入り、さらに手に入れた鍵で中へ入っていく。そしてビニールの手袋をしてロッカールームに入り、レンチで藪崎のロッカーをこじ開け、二表の面が人ったジュラルミンケースを盗む。

スクリーンに映った画像を見た細尾は、真っ青になってわなわなと唇を震わせた。
「なぜだ・・・・・・なぜ、その画像が・・・・・・」
「金子さんはあなたに売りつけた画像を自分のパソコンに全て保存していたんですよ。またあなたから銘をしぼりとるためにね。── 細尾さん。あなたは外国人バイヤーとの商談だと言って、私を四時間もホテルに待たせましたね。しかし、本当は商談が始まる前にあなたはホテルを出て金子さんを殺害し、コナンを拉致したんだ」 P181-183

ガレージには工具やビニール手袋。解体中のビルは、移転前の細尾の会社が入っていたビルで、地下のフロアがスタッフルームだった。

さらに、岩見のメモを拾っている細尾の姿が写った画像。金子はパソコンにも自分の撮ったカメラの写真を保存していた。細尾が商談に4時間もかかったのは、その時に金子の殺害やコナンの拉致をしていたため。

「・・・・・・会社が・・・・・・会社が潰れてしまう・・・・・・」
もういつ倒産してもおかしくない状態だった。だから、収集していた古美術や絵画も次々に売却して会社の赤字補填に充てていた。それでも補いきれず、二表の面を外国人バイヤーに売った。高橋に生命保険をかけて殺害した──。 P184

細尾は、会社がいつ倒産してもおかしくない状況だったため、収集していた古美術や絵画も次々に売却、会社の赤字補填に充てていた。

── と、これで一件落着。海老蔵さんの「人の命を奪ってまでも守らなければならない会社などあるわけないだろう!!」という台詞と、眠りの小五郎の「今、あなたがいる場所は日々芸を磨き、自分に厳しくある人たちが上がる場所。あなたのような人間がここにいることは許されない!」という決め台詞で推理ショーを締めくくる。ラストかっこよすぎ!

人の命を奪ってまでも守らなければならない会社、まぁ間接的にそういうことしてるところはありますね。結構、意義のあるなテーマだったり?

一応事件を振り返ると、推理ショーとその直前の後出しを除いても、細尾が犯人だというヒントや伏線はそれなりにある。

自分の命が狙われたにも動揺せず、面を約束通り届けることを優先したのに、秘書が殺害されたあとに手のひら返して小五郎にボディガードを頼んだりする言動のおかしさ。

薮崎が面をロッカーにしまいに行く途中で細尾との会話があったり、高橋が殺害された時に泣いていた潮路が細尾をにらみつけたり、商談に4時間もかかったり。

ボタンに関しては後だしどころか、高橋殺害後に着替えをする前にもかかわらずボタンが付いているというミス(笑)ただし、アニメの場合は話の途中でジャケットを着替えているので、それに気づくことはできるかも。

まぁ、普通に考えて大事な顧客との商談前にジャケットを着替えることはおかしくないし、「ジャケットを着替えているからお前が犯人だ!」というのは無茶苦茶なのだけれど、アニメで意味もなくゲストキャラのジャケットを着替える必要はないので「何かある」ということに。

でも、園子も服装違ったりするし、返り血を浴びたとかでない限りは、やっぱり着替えてるから犯人と推理させるのは論理的におかしいけれど。

ただ、これらは非常に細かいのでアニメを見ながら気づくのは簡単ではないし、重要な細尾のアリバイを崩すために必要な防犯カメラの映像についての報告や事故現場付近の様子も後出しのため、細尾を犯人にすることができない。

高橋の殺害についても、わざわざ手の込んだ自殺に見せかけた理由。動機の保険金についても、会社の様子や受取人のことを考えたら予測するのは困難。

確か、ストライカーも似たような感じで、1人ずつ否定根拠のある人間を消去法で消して行くと矛盾点のない人間はただ1人と思ったら、その1人は終盤で否定。アリバイのあった人間のアリバイが後付で崩れて犯人。細かく見ると一応ヒントはありましたっていう展開だったかも。

それと、細尾の計画が振り返るとずさんな件。夜中にじっとしていられなくなって病院を抜け出し、行く場もなく歌舞伎座の前まで来た岩見を犯人に仕立て上げようとする行き当たりバッタリの計画。

会社の財務状況や美術品を片っ端から売却していたこと。殺害された高橋に生命保険がかけられていたり、金子やコナンが失踪した時間に数時間もホテルから抜け出したこと。防犯カメラの映像データが加工されていたこと。事故現場付近にウォータークッションが並べられていたことや、テープが落ちていたこと。

これらは推理ショーで明かされるように、警察が調べればすぐにわかること。エンジンルームまで指紋がついているか細かく調べていたのだから落ちていたボタンも見つけているはず。

そもそも、トレーディング会社の社長でありながら、免許を持ってるだけで手の込んだ自殺に見せかける殺人とか、データの加工とか万能すぎ(笑)データの加工よりも、目だし帽をかぶって第三者の犯行に見せかけたほうが良かったのような。

今回の事件、コナンの助けがなくとも、細尾が捕まるのは時間の問題だったのではと。

普段なら死亡推定時刻やら検死の結果(睡眠薬を使用したなど)、カメラの映像についての報告(外部の者は映っていないなど)がありえないくらい早く出て来るのだけれど、スルーされているのはそれがわかると犯人が絞られてしまうからかもしれない。逆に考えれば、それを言ったらわかってしまう人が犯人と。

感想

構成が上手で、前半は緊張感を保ちながらCMの度に先が気になってしょうがないくらい、ぐいぐい視聴者の気を引く展開。

後半は推理ショーの直前まで、ほぼコナン救出にかけた山場のシーン。缶切りの話やらツナパーティーで盛り上がったりストーリー上意味のないシーンも多いのだけれど、これはこれで、情報過多の詰め込みにならずに気楽に見れる。

無駄のないくらいぎゅうぎゅうに伏線を散りばめた話は芸術的かもしれないけれど、尺の問題でカットされたりすると話がおかしくなったりすることもあるので、劇場版とかも骨格の部分以外はゆるいシーンで肉付けして、カットされても問題ないようにしておくのも手かもしれないですね。

原作の20周年記念でやったアニメSPの「江戸川コナン失踪事件」の評判は芳しくなく、それとは対照的に今回の「歌舞伎十八番ミステリー」は比較的好評だったのだけれど、脚本の内容だけ比べたら失踪事件のほうが凝っている。

推理の部分に関しては、どちらもなかなかヒドい後出し(笑)結局、失踪事件は放送後につまらなかったという意見が多く出たのは、話が難しすぎたのかなと。今回は序盤に園子の説明がちょっと難しかったくらいで、推理の部分を除いた話はドラえもんレベル。

失踪事件はアクションシーンが少なくて退屈だったという声もあったのだけれど、今回のほうが少ないくらい。というか、ほとんどない。序盤のスケボーシーンも引き伸ばさずにさらっと。

ただし、後半のコナン救出劇は、コナンが試行錯誤して奥へ進んでいくところや、探偵団がコナンの行方を捜そうと走り回るところ、スター海老蔵が間一髪のところで駆けつけコナンを救出する見せ場まで、きちんとキャラ一人一人を動かしながらしっかりと時間をかけている。端折りすぎるとダイジェストのようにあっさりしすぎてしまうので。

話が面白いのは後半だったけど、前半のほうが良かったなとは思います。やはり、後半はどうしても推理ショーのポイントが高くなるので。サプライズというよりは何じゃそれ?という印象が強く、それまでの話が台無しに感じてしまう。

まぁ、ここでの不満が少ないということは、アニメSPは一般的に推理はあまり重要視していないのかも。劇場版の業火の向日葵がミステリー要素がどうとか動機が劇場版レベルにないとか言われていたけれど、この話の動機も保険金をかけて殺害とか醜いレベル(笑)お金という共通点はあるけれど、面も偽物を作らせて、本物は売ってお金にしようとしただけ。

個人的には土曜の夕方に1時間×2でやるSPなら、無理に犯人は誰でしょうをメインでやらないでも、紺碧のように探偵団と小五郎、博士、蘭・園子どっかの島に宝探しにでかけてみたいな話でもいいんじゃないかと思います。

暗号を解きながら宝探し、簡単なクイズを視聴者も一緒に解きながら進んで、途中で悪い奴らが俺たちが先だぜみたいに邪魔してきて── みたいな。

それとちょっと思ったのは、灰原が海老蔵さんの前で見せたような猫かぶりになるのは比護さんの時と同じように割とあるのだけれど、蘭の前で子供っぽさを全く出さないで大人口調のままツンとした態度で会話しているシーンを同じ話に入れるとただの八方美人に見えてしまうので、もう少しキャラの使い方を工夫しても良かったとは思いました。

sponsored link
更新日:2016-3-8

コナンと海老蔵【歌舞伎十八番ミステリー】まとめと感想」への6件のフィードバック

  1. 管理人 投稿作成者

    >>nanakusa さん

    コナンのノベライズを初めて本屋で買う時は迷いますね。
    ラノベコーナーやコミックの隣の関連初期の棚とかにあるのかなと思ってしまうので。

    児童文学のコーナーにいくのは、ある程度の年齢になれば子供のためだとか適当な思いこみで自分に言い聞かせれば恥ずかしくないかな(笑)

  2. nanakusa

    僕は新宿の紀伊國屋本店をよく利用していますが、コナンのコミックは別館2階のコミック売り場、ノベライズは本館6階の児童書売り場です。
    ラノベ扱いならコミック売り場なのですが。
    まあ、新宿紀伊國屋はさすがに大きすぎるとしても、ある程度の大型店なら階層が違うことは多いですね。
    っていうか、いい年して児童書コーナーに一人で行くことじたいがキツイです(;・∀・)

    ネットで買えといわればその通りとしか言いようがありませんが。

  3. 管理人 投稿作成者

    >>nanakusa さん

    最近はネットで注文してしまうんですが、本屋だと児童文学のコーナーにあるのでわかり難いかもしれないですね。しかも、小さいところだと発売日に入荷されてなかったり。

    コナンの携帯については尺の問題でカットしたというよりは、忘れただけのような気がしてなりません(笑)得に長いセリフでもないし、他に無駄なシーンはいくらでもあるし。

    他の映画とかの場合、重要なシーンのカットは尺や映像化の問題よりも、演出のために意図的にカットしている場合のほうが多いような気がします。犯人を推理するための伏線をあえてカットして、最後まで犯人が誰かわからないようにしていることが結構多いです。

  4. nanakusa

    あー、携帯の方はノベライズでフォローされているんですね。
    業火のノベライズでも思った(こちらは買いました)んですが、アニメで表現しきれないのは時間や演出の問題でしかたがないとしても、ノベライズでのみフォローするならノベライズをもう少しコナンファンが手に撮りやすい形態でもだしてほしいです。
    児童書コーナーにしかないとなると、中学生以上はよほどのコナンフリークじゃないと存在すら知らない非tも多い気がしてなりません。せめてガガガ文庫でも同時発売くらいしても罰が当たらないのでは亡いかとおもうんですよね……

  5. 管理人 投稿作成者

    >>nanakusa さん

    ノベライズだとわかるのですが、蘭と灰原の会話で、蘭が「こういう時は新一かな?」みたいなことを言って、灰原が「それは無理」と答えるシーンがあるのですが、その後に「今日に限って工藤新一の携帯は灰原が預かっている」と説明があります。

    ちょっとわかり難いんですが、灰原のセリフはコナンが出れないんだから新一も出れるわけないという意図で言ったように思えるんですが、そうではなくて、電話は私が持ってるから新一にかけても意味ないってことです。実際コナンは意識があったので、もし新一の電話を持っていたら連絡取れたわけですし。

    あそこは「電話は私が預かってる」と灰原のモノローグ入れたほうが良かったと思いますね。

  6. nanakusa

    小説は読んでいませんが、アニメ見て思ったこととしては……

    コナン、新一用の携帯もってんだから、それで博士に電話しろ。
    博士は予備の追跡めがねでコナンの居場所調べろ。

    ってことですね。
    いや、もちろん、新一用の携帯も追跡めがねも壊れていたのかもしれませんが、そういう話が一切出てこなかったので、単に脚本家が存在を忘れていたようにしか思えませんでした。

    あと、犯人はコナンなんで殺さずに地下に放置したのかもわかりませんでした。
    子供を殺したくないっていうだけなら、そもそも放置するなって話ですし。

コメントを残す