コナンと海老蔵【歌舞伎十八番ミステリー】まとめと感想

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高木の説明を聞いた海老蔵は、険しい表情で腕を組んで目を伏せた。
「犯人は人を殺害してまで面を手に入れたかった・・・・・・」
「私がもっとちゃんと保管していれば・・・・・・」
藪崎がテーブルに手をついてガックリとうなだれる。
「それは違いますよ」
目暮はかぶりを振った。

・・・

「考えられるパターンは三つある」
小五郎が口を開くと、海老蔵たちは驚いて振り返った。
「その一・・・・・・高橋さんが二表の面を盗み出し、第三者に売ろうとした。だが、その犯人に殺害され面は奪われた」
小五郎の推理を聞いた海老蔵はあごに手を当て、うーん・・・・・・・と考え込んだ。
「もしそうなら、犯人は何の目的で高橋さんを自殺に見せかける必要があったんだろう・・・・・・」
「あれだけの細工に時間をかけるのは変ですよね」
隣にいた高木も脇に落ちないようだった。
小五郎は考え込んでいる海老蔵をじっと見つめた。
(コイツ・・・・・・俺を混乱させようとしているのか・・・・・・?)
その視線に気づいた海老蔵がきょとんとする。
「何か・・・・・・?」
小五郎は視線を外し、フッ・・・・・・と余裕の笑みを見せた。 P113-P114

二表の面を高橋が盗み、それを売却相手が盗もうとしたのなら、自殺にみせかける必要はない。というか、ジュラルミンケースを置きっぱなしにして窃盗の証拠を残す必要がないとも言える。本当に自殺にみせることができれば、高橋殺害の捜査は終わる。窃盗の捜査は続くが、盗んだのが高橋であれば犯人はもういないので迷宮入りする可能性がある。

「ま、推理に欠点はつきものです。パターンその二!金になると思った犯人が面を奪い──
「わ、私じゃありませんから!」
他のスタッフたちと座っていた箕輪が耐え切れず声を上げた。
「毛利さんは箕輪さんのことを言ってるわけじゃありませんよ」
薮崎がなだめるよう害うと、小五郎派オホン! と咳払いをした。
「え~、金になると思った犯人は高橋さんに連絡し、買い戻すよう交渉した。そして金を受け取った後、殺害。顔を見られてますからな。それに罪をかぶせようと自殺に見せかけ・・・・・・」
小五郎が言い終わらないうちに、海老蔵は「その場合」とさえぎった。
「なぜ高橋さんに接触してきたんでしょう?面を金にするなら、細尾さんに買い戻させるべきでは?」
海老蔵の疑問に、岩見と藪崎もうなずく。
小五郎は海老蔵を忌々しくにらんだ。
(やっぱり俺を敵対視している・・・・・・ということは、あんたが犯人かもしれないってことだ
・・・・・・ P114-115

高橋が面を盗んだのではなくて、犯人が盗んだ。それを高橋に売り、金だけ受け取り口封じに殺害した。これなら、高橋ではなくて金のある細尾に買い戻させるべき。ただ、高橋が犯人に「買い取る」と言ったのならあり。細尾を脅迫しても警察に通報される可能性がある。

これも、自殺にみせかけて殺害する意味はあるけれど、空のケースを置きっぱなしにすればその意味がなくなってしまう。ケースを置くことで窃盗の罪を被せることはできるかもしれないけれど、その場合は面も残しておかなければならないし、面を盗んだ後に後悔して自殺した、というのもちょっと衝動的すぎる。

高橋が面を盗んだ後に第三者に横取りされたのであれば、やはり自殺に見せかける意味がない。

小五郎が疑いの目を向ける中、海老蔵は細尾に質問をした。
「それらしき人物が接触してきませんでしたか?」
「いや、ありません」
細尾が答えると、海老蔵は目暮に目を向けた。
「自殺の線は完全に消えたんですね?」
自殺という言葉を出した海老蔵に、小五郎はフッ・・・・・・と意地悪く笑った。
(お~、今さら自分の犯行を自殺に持ってくか~~~)

「まずありませんね」
目暮の答えに、高木が続く。
「車の中はもちろんエンジンルームまで丁寧に拭き取った跡があって」
目暮は「さよう」と小さくうなずいた。
「これから自殺しようとする人間が指紋を拭き取ったりはしないですからな」
海老蔵が「そうですね・・・・・・」と目を伏せると、小五郎はニヤリと口の端を持ち上げた。
(何が“そうですね”だ。墓穴を掘ったな) P115-116

車の中はエンジンルームまで指紋が拭き取られていた。自殺する人間はそんなことはしないため、他殺は確定。二表の面の窃盗はビニール手袋で指紋が残らないようにしているので、そこから考えると殺人と窃盗は別。ただ、今回はわざと指紋を拭き取った痕を残すことにより、他殺と判断させている。

後編(3/5)~(4/5)

3/5

コナン救出。追跡めがねがないのに「近くにいる」と探偵団の居場所がわかった理由がわかり難いのだけれど、近くに来たから探偵バッジが繋がった。(ということは近く)ってことかな。

4/5

「出ました!金子英司の遺体です。それと・・・・・・」
扉の前に立った高木は、チラリと外を見た。

重機に囲まれてた地面には、白い布が敷かれ、その上に── 割れてしまった二表の面が置かれていた。 P137

金子の遺体が発見される。そして、割れた二表の面も発見される。

「金子のカメラバッグの中にあったんですね?」
小五郎がたずねると、作業員は神妙な面持ちで「はい、遺体のそばに」と答えた。
「面を奪い、自分に近づいたボウズを始末しようとして、自分も巻き込まれた・・・・・・」

・・・

割れた面を見つめていた海老蔵は、不服そうに唇をゆがませた。
「・・・・・・そんな都合のいい・・・・・・」
「話にしたいんでしょうね、犯人は」
小五郎はそう言うと、海老蔵に疑惑の目を向けた。

・・・

「犯人かもしれないヤツに呼び出されておいて、らしくないわね」
「犯人じゃないって確信があったからな」
コナンはきっぱりと言った。
そう。金子は犯人じゃない──。 P138-139

「面を奪い、自分に近づいたボウズを始末しようとして自分も巻き込まれた」と犯人は見せかけようとしたことくらい小五郎でもお見通し。コナンも金子が犯人でないことは確信していた。

向きを変えるだけで表情が変わる、特別な職人のつくった二表の面の偽物なんてそんなに簡単に作れるものなのか、木のDNAなんかの話もあったし、偽物なんて作ったところで後でバレてしまうのでは?(作れちゃったけど。)

そう考えると、犯人の真の狙いは面ではなくて高橋の殺害となるのだけれど、それなら面を狙った窃盗殺人とみせかけたほうがいいわけで、手の込んだ自殺にみせかける必要はない。

金子を最後に見たのはいつかと小五郎に訊かれ、最初に手を上げたのは岩見だった。
「昼間・・・・・・ボクの病室に海老蔵さんとコナン君が来てくれた後に・・・・・・」
コナンと病院の玄関で会った後、金子は岩見の病室に向かったのだ。
「金子はオマエに何の話があったんだ」
海老蔵の厳しい口調に、岩見は「は、はあ・・・・・・」と言葉を詰まらせた。
「正直に言え!」
「は、はい」
岩見はぽつりぽつりと金子と会ったときのことを話し出した。

・・・

「オメー、夜中に歌舞伎座に来たろ」
「隠さなくていいぜ」
金子はそう言うと、岩見に顔を近づけてニヤニヤと笑った。
「で、面かっぱらったのか?」
金子に訊かれた岩見は、う、うう・・・・・・とうめきながら、懸命に首を横に振った。
岩見の話を聞いた小五郎は、鋭い眼差しでたずねた。
「あなたが二表の面を奪ったんじゃないんですね?」
「ぜ、絶対盗ってません。盗ってたら、こ、こんな・・・・・・話しません・・・・・・」
うつむいた岩見はブルブルと体を震わせた。
「夜中にここに来たのは本当なのか?」
海老蔵に訊かれて、岩見は震えながらうなずいた。
「病院に一人でいるのが耐えられなくて、抜け出したんですけど・・・・・・行くところもなく、気づいたら歌舞伎座に・・・・・・。でも、通用口の暗証番号をメモした紙をなくしてしまって・・・・・・そのまま病院に戻ったんです」
「メモがないと、わからない?」
小五郎がたずねる。
「だって・・・・・・そんな時間に来たことないですし......」
岩見がおそるおそる答えると、箕輪が「あの・・・・・・」と口を開いた。
「い、岩見さんに番号を教えたのは私なんです」
赤らめた顔に冷や汗をかきながら箕輪はそう言うと、いきなり立ち上がった。
「その場合、私も共犯として、た、逮捕でしょうか!?
「だから僕は盗ってないですって・・・・・・」

・・・

「・・・・・・そこを金子さんに撮影されていた」
岩見は力なく「・・・・・・・はい」とうなずいた。
「僕が通用口へ向かうところを撮られて、その画像を病室で見せられました。そして、”台本が書けなくて入院しちまうヤツだもんな。面さえなくなれば芝居は中止──そう思ったろ?”と・・・・・・」
海老蔵は「岩見」と呼んだ。
「オマエ、本当にロッカーのある部屋まで行ってないんだな?」
「はい。行ってません」
岩見がきっぱり答える。
「番号のメモがその部屋に落ちていた」
海老蔵の言葉に、箕輪が顔をひきつらせながら再び立ち上がった。 P142-145

岩見は夜中に病院を抜け出して歌舞伎座に向かっていた。しかし、暗証番号を書いたメモをどこかになくしてしまったため、中には入らずに病院へ戻ったと言う。

岩見は普段は通用口を使わないようで番号は知らない。そのため、岩見は箕輪が教えた番号をメモしていた。この番号を聞いたというのは、たぶんもっと前の話。そうでなければ、また聞きなおして入ればいいだけなので。なんで岩見は使うことのない通用口の番号を箕輪から聞いていたのか(笑)

ここで岩見の話を疑っても進展しないので真実として、犯人は岩見のメモを見て中へ入ったと考えられる。箕輪が他にも番号を教えた人がいるのならその話も出てくるだろうし、箕輪が犯人でない限りは、やはりシンプルに岩見のメモを使ったと考えて良さそう。ただし、グルでないことがわかった以上、防犯カメラの位置を知っている内部の構造を知っている人物。

金子は岩見の弱みを利用して脅迫していた。コナンが「何かを掴んでいる」と疑ったように、高橋の殺害現場の写真を撮っていたことからも、恐らく真犯人も知っている。そのため、犯人に利用された上で消されたと考えられる。

「今、金子の携帯に残っていた履歴がわかったんですが──細尾さん。今日の十五時五分、金子から電話がありませんでしたか?」
えっ、と驚いた細尾は、スマホを取り出した。
「午後の三時・・・・・・・」
「その時間は米花ホテルで商談中では?」
「商談中ですからマナーモードに・・・・・・ああ、知らない番号から着信があります」
細尾が示した着信履歴には、金子の携帯番号があった。
「今まで彼からかかってきたことは?」
白鳥の質問に、細尾は「ありません」と首を横に振った。小五郎がチラリと白鳥たちを
見る。
「”面が手に入った・・・・・・いくら出します?”じゃねーのか」
高木は「なるほど・・・・・・」と同意の声を漏らした。
「では、やはり金子が・・・・・・」
白鳥が結論を急ぐと、小五郎は「いや」と目を光らせた。
「金子さんはただのコマ。操っていたヤツが別にいる」
正面に向き直った小五郎は、テーブルの上で指を組んだ。そして正面に立つ海老蔵に鋭い眼差しを向ける。

P146-147

商談中、金子から高橋に電話があった。しかし、金子が面を盗んだというのは犯人の仕掛けたフェイクと考えられるので、それなら面を売ろうとしたわけではない。金子は岩見と同じで犯人の見当がついている。とすると、ここで金子は細尾に何か都合の悪い情報で脅そうとした可能性が出て来る。

小五郎も金子を疑わないところはいい線行ってるのだけど、細尾を疑わずに、犯人が金子を操っていると考えている。

「明日も同じジャケットならな」
そう言った瞬間──バチッ!とコナンの脳裏に閃光がほとばしった。
突然、銀座の路地裏でスタンガンを押し当てられたときの衝撃がよみがえる。
あのとき。
頭にかぶせられた布。
意識が煙のように消失していく中、閉じていく目に映った布の端に付いていたもの。
あれは──。
(・・・・・・そうか・・・・・・それで・・・・・・) P151

コナンはスタンガンを押し付けられた時のことを思い浮かべ、犯人に気づく。アニメだと、容疑者である潮路、岩見、細尾、藪崎、海老蔵が悪顔で流れるので、この5人、というか海老蔵さんはないので4人に絞られる。まぁコナンは単独犯なら岩見もないって推理しているのだけれど。

「明日も同じジャケットならな」というヒントから、アニメ版の場合はジャケットを着替えている細尾に目をつける事もできる。でも、アリバイを崩す根拠は結局後出しなのだけれど。

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更新日:2016-3-8
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