コナンと海老蔵【歌舞伎十八番ミステリー】まとめと感想

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「これわかる?」

コナンは持っていた紙切れを海老蔵に渡した。紙切れには四桁の数字が書かれている。
「・・・・・・何だい?この数字」
「通用口の暗証番号だって箕輪さんが言ってた。朝、あの部屋に落ちてたんだって」
「何で警察の人に渡さないんだ?」
「鑑倫さん、小五郎おじさんに調べてほしいんだって。自分は警察に疑われてるからって」
「疑わねーって」 P59-60

通用口の暗証番号が書かれた紙が、あの部屋(ロッカー)に落ちていた。

これ、鍵がいくつ必要なのか書かれていないのだけれど、

・入り口の鍵:カードキーを持っている人は結構いる。(歌舞伎座の関係者なら可能)
・その先の鍵:箕輪さんを含めて受付の人たちだけしか持ってない。(受付以外は要ピッキング)
・通用口:暗証番号で開く。(暗証番号を知っている人間)

犯人はカードキーで館内に入り、ピッキングで最新のシリンダーを開け、暗証番号で通用口の扉を開いて、ロッカーをバールで壊したわけではない。通用口は正面とは違う入り口で、通常は従業員(裏方)専用の入り口を指すので別の侵入経路。

結果としては細尾が犯人だったけれど、細尾にピッキングの技術があることは作中で一切言及されないし、ピッキングの技術を持ちながらも、ロッカーだけを強引に破壊した意図が見えない。

これにより、ロッカーを破壊した人間と高橋を殺害した人間が同一人物であること、罪を着せようとした岩見が車の免許をもっていないことから容疑者から外れてしまうことになっている。

まぁ、捜査かく乱に侵入者と窃盗をわけて二人の人間が絡んでいるようにも思わせることはできるかもしれないけれど…

警備の人が出勤してもピッキングで侵入された形跡もないのは、正面からは入られていないということ(犯行の発覚を遅らせるために律儀に閉めるケースもある)。

コナンが「通用口の暗証番号」と言っておきながら、犯人が通用口から入った可能性には言及せずに、ピッキングの技術者であると推理しているのがややこしい。

推理ショーで明かされるのは、「通用口から入り、さらに手に入れた鍵で中へ入っていく」と説明されている。細尾は岩見が落としたメモを広い、それで通用口からキーを入力して侵入。その後に鍵置き場からその先の鍵を手に入れ、奥へと進んだことになる。

想定:正面玄関(カードキー)⇒その奥の入り口(ピッキング)⇒ロッカー
実際:通用口(暗証番号)⇒鍵保管場所(鍵入手)⇒ロッカー

カードキーは比較的持っている人間が多い。さすがに関係者じゃないと無理なので、細尾は厳しいけれど盗めば可能。ただ、その先の鍵も盗んでいるか、ピッキングができないのとその先には進めない。

通用口からなら鍵のある部屋にたどり着けるので、そこで鍵を手に入れて進むことができると考えられる。

ちなみに、アニメだと岩見は「表の入り口の暗証番号をメモした紙をなくして」と言っている。これだと、正面玄関=通用口か、抜けた先にあるピッキングが必要な扉=通用口とも考えられる。要は、受付の鍵でも暗証番号でも、どちらでも開く。それなら、別にピッキングの名人である必要はないのだけれど。

紙切れを裏返すと── セリフのような文章がプリントアウトされていた。
「前の公演の台本だ」
海老蔵は険しい顔をしてシートベルトを引っ張った。
「これ、台本なんだ」
「いらない台本を切ってメモ用紙に使う・・・・・・作家の岩見がやっていた。」

「・・・・・・名探偵君は、このまま岩見を犯人候補筆頭とするかい?」
ハンドルを握った海老蔵は前を向いたまま、コナンにたずねた。
「この事件のスタートは細尾さんの車のブレーキホースが何者かによって細工されていたところから、次が秘書の高橋さん。これも車に難しい細工をしてね。それに、あのロッカーの破壊に使用されたと思われている小型のバールのような物が、車載工具に入ってるホイール用のレンチだとしたら・・・・・・」
そこまで言うと、海老蔵は「なるほど」と小さくうなずいた。
「車に詳しい犯人ってことだ」
「運転免許を持ってない岩見さんの犯行とはちょっと考えにくいかな」
海老蔵は驚いた顔でチラリとコナンを見た。
「岩見が免許持ってないなんて、いつ調べたんだい?」
「あっ、ボクじゃなくて小五郎のおじさんが調べさせたみたい」 P60-62

コナンが名探偵だと気づいている海老蔵(笑)この時点でもう容疑者から外れそう。

暗証番号が書かれていたのは台本の裏。いらない台本を切ってメモ用紙に使うのは作家の岩見がやっていたこと。

この事件のスタートである車の細工による殺人未遂。高橋秘書の殺害。ロッカーから面を盗んだ時に使った工具。これら全て車に詳しい、そうした道具を所持している人間に限られるため、同一犯による犯行とコナンは考える。

しかし、岩見は免許を持っていないということで、直接の容疑者とは考えにくい。まぁ、工具でロッカーを壊すだけであれば、岩見にも可能。

箕輪は自分から不利な情報を提供するので犯人ではなさそうなのだけれど、メモが落ちていたのは岩見に疑いをかけるためと考えれば、ここだけ見れば怪しいのかもしれない。

ただ、箕輪は前日に細尾が面を持って来たこと、その後藪崎がロッカーに面をしまったところを見ていない。箕輪を容疑者に入れるのであれば、歌舞伎座で働いている人全てにできるということになる。(名無しのスタッフも登場している)可能性の問題だけではなくて、箕輪がやったという具体的な伏線が必要。

前編(4/5)~(5/5)

(4/5)

「すごいですなあ・・・・・・私の探偵事務所より、ちょっと広いかな」
細尾に呼ばれた小五郎はフロアを見回しながら、誇張気味に言った。
「三ヶ月前に移ってきたばかりでね」
「前もこういう・・・・・・」
「いやいや、古いビルですよ」
オフィスの奥にある社長室はそれほど広くないものの、デスクやソファはそれなりに高級感漂う物だった。
 P63

「移転した」というのも何気に伏線だったりする。この後コナンが閉じ込められた解体中のビルは旧オフィスの入っていたビルで、事情を知っていたからそこを監禁場所に選んだというオチ。まぁ、ここは別に気づかなくてもそんなに問題はない。

今回の話は綿密に練られた伏線が全て繋がって── というわけでなく、本筋に関係ないおまけのようなシーンが多いので伏線とそうでない箇所の見分けが難しい。

小五郎が誇張したのは恐らく「私の探偵事務所より、ちょっと広い」という自分の事務所のほう。本当は事務所と同じくらいか小さいのに、「すごい」は嫌味にしかならない。小五郎は特に違和感は持たずに純粋な感想を語っている。

トレーディング会社なので従業員はそれほど多くはなくてもおかしくはないし、デスクやソファはそれなりに高級感漂う物。三ヶ月前に移ってきたばかりで、場所も銀座でこれだけのオフィスにしたのだから、業績はまあまあなのかなと思いました。

けれど、実態は美術品を売却しまくってもまだ足りずに、生命保険で賄おうとしたくらい切羽詰っていた。会社が上手くいっているように見せかけるためとも考えられるけど、一人の生命保険にかけるほどぎりぎりの状況で見栄を張る余裕はないはず。オフィスの備品や賃料はかなり大きい。

前のオフィスのビルは解体されるため、経費削減のために移転したわけではなくて、ビルそのものの建て直しで移転したと考えられる。スタッフルームは地下であったため、以前のオフィスが特別豪華だったわけでもない。

「あなたのボディガードを?」
両手をひざの上で組んでうつむいていた細尾は、小さくうなずいてみせた。
「車のブレーキを壊され、私は殺されかけた。そして今度は秘書の高橋が本当に殺された
・・・・・・」
「まだ自殺の線が消えたわけじゃないんですがね」
「あいつは自殺するような男じゃありませんよ。私がきつく叱っても次の日にはケロッと
しているようなヤツでしたから・・・・・・」
細尾はそう言うと顔を上げ、すがるような目で小五郎を見た。
「私がまた狙われる可能性が・・・・・・」
「わかりました。お引き受けしましょう」 P64

細尾は小五郎にボディガードを頼む。車が明らかに細工されて命を狙われたても顔色一つ変えなかったのに、突然の変わりよう。

まぁ、本当に人が死んだので、それでびびったというのはおかしくはないけれど。このシーンで明らかに怪しいなとは思ったけれど、彼には命を狙われたというアリバイが…

「やめて岩見さん!ダメですって!誰か、誰か来てー!!」
看護師の声に驚いた海老蔵はH号室のドアを開けた。すると──開け放たれた窓によじのぼる岩見とその体にしがみつく看護師の姿が目に飛び込んできた。

・・・

患者が自殺騒ぎを起こしたにしてはずいぶん明るい反応だ。コナンが不思議に思っていると、廊下から足音が聞こえてきた。
「菊池先生」
看護師が名前を呼んだその中年男性の医師は、床に座り込んでいる岩見を見て「またか・・・・・・」と顔をしかめた。 P69

病室に着くと、岩見が窓によじのぼり飛び降りようとしていた。医師の「またか」という発言から、今回が初めてではない。

「俺が悪かったのかもしれないなあ・・・・・・」
ベンチに腰掛けたコナンは、沈んだ声でつぶやく隣の海老蔵を見た。
「アイツの才能を買って抜擢したんだ。でもアイツにとって、それはプレッシャーだった
のかもしれない・・・・・・」 P70

・・・

「岩見さん今、鎮静剤を打って、もう大丈夫だって、先生が言ってます」 P70

海老蔵さんは自分がプレッシャーをかけてしまったことが原因かもしれないと考える。

鎮静剤とか打たれてるので、この医者が何か変なの盛ってたりしないかと思いました(笑)

(5/5)

コナンの隣に座った看護師はアハッと笑った。
「夜中の点滴チェックのときだから・・・・・・三時くらいかな。
岩見さんの病室から『ざけんな!』って声が聞こえてきたの」

・・・

「自殺未遂ってこと?」
一部始終を聞いたコナンがたずねると、看護師はう~んと眉を寄せた。
「狂言みたいなとこもあるんだけどね。そういう患者さんときどきいるから」 P73

昨日の夜中の三時くらいに、岩見は暴れていた。看護師の話によると、狂言みたいなところもあるらしいので、本当に悩んでいたのか、演技なのかはわからない。頭がおかしくなって、それで夜中に外出した── と理由を作る可能性も否定はできない。

「何嗅ぎ回ってんだ」
玄関の柱にもたれて立っていた金子が声をかける。
「おじさんこそ何してるの?」
「俺はカメラマンだ。今度の公演を記録するのが仕事なんだよな」
と柱から離れた金子はすばやくカメラを構え、連写しながらコナンの前に回りこんだ。
「ボクは関係ないでしょ」
「おまえはもう首を突っ込んでるじゃん。ただじゃ済まないかもよ」
カメラを下ろした金子は意地悪そうに笑った。
「おじさん・・・・・・カメラマンじゃなく探偵なの?」
コナンが鋭い目を向けると、金子はカメラの液晶モニターを起こしながら近づいた。 P75

金子はコナンのことに気づいている。

コナンの真後ろに立った金子はかがみ込んで、カメラのモニター画面をコナンの目の前に下ろした。モニターにはワゴン車の中で絶命している高橋の姿が写っていた。
「警察がブルーシートで囲む前から近くのビルの屋上にいて、そこでいただいた」

金子がボタンを押すと、モニターの写真が次々に切り替わった。ヒモが首に巻き付いてワイシャツの襟に血がにじんだ高橋の姿、ボンネットが開かれたエンジンルーム、そして険しい目でエンジンルームを見ているコナン──。
「いい目してるじゃねーか」
金子はへヘッと笑うと、体を起こして液晶モニターをパタンと閉じた。
「遺書はあったのか?自殺ってことにすりゃあここで終わりだ」
「自殺ならもっと簡単にやるよね」
「わかってるな、ガキ」
コナンは前を向いたまま「どうも」と言った。
「気をつけろ。どいつが敵でどいつが味方か、読み間違えると命取りだ」

・・・

(あのカメラマン・・・・・・何をつかんでいるんだ・・・・・・) P76-77

金子がコナンに高橋が殺された現場の映像を見せる。ズームしたのでこれは伏線、何か証拠が残ってるのではと探したけど、わかりませんでした(笑)たぶん、この時点でボタンは描かれていない。

金子は今回の一連の事件について、何かをつかんでいる。それに、「気をつけろ。どいつが敵でどいつが味方か、読み間違えると命取りだ」と言っているので、まぁ犯人ではないっぽい。

金子は「公演を記録するのが仕事」と言っているけれど、ただの取材でわざわざ病院まで来たわけではなくて、「何かをつかんでいる」ことから、岩見の秘密を何か知っているのではと考えられる。

「潮路君は経理の仕事があるからここにいてもらわないと」

・・・

二人を見送るゆかりの顔に笑みはなく、切るように鋭い視線を二人に向けていた。 P78

実は、潮路を置いていったのは、この後の犯行の予定があったためだったのかも。この時潮路は細尾と小五郎をにらみつけているのだけれど、小五郎に罪はないので相手は細尾。

潮路が高橋と細尾に恨みがあり、次のターゲットは細尾みたいに見せているのだけれど、潮路は高橋に恨みがあるどころか高橋と深い関係があったような描写があるので、むしろ高橋が殺害されたことに対して細尾を恨んでいると考えられる。でも、この時点で細尾が犯人である証拠もなければ、アリバイを崩すこともできない。

「金子さん、どうかしたの?」
「彼にはいろいろよくないウワサがあるんだよ」 P80

金子は色々評判が悪い。カメラマンなので、普段からスキャンダルを週刊誌に売ったりとか、そういったことをしてきたのかもしれない。

「あ、そうだ。金子さんの携帯番号わかる?小五郎のおじさんが訊いてこいって」
コナンのウソをすっかり信用した箕輪は、すんなりと教えてくれた。 P82

なんで箕輪が金子の番号を知っているのか。たぶん、関係者以外は名前とか電話番号とかを書いて入れてもらっているんだろうけど。小五郎のお願い=警察のお願いみたいなところはあるので、さらっと教えてしまう。

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更新日:2016-3-8
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