キール編|灰原の「倉吉」に対する反応

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工藤君あなたまさか

灰原:(倉吉・・・)(工藤君・・・・・・)(あなたまさか・・・) File:466

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45巻、天体観測に行く車の中でコナンと博士の会話を聞いていた灰原は、「倉吉」というキーワードを聞くやいなや、険しい表情で汗をかいて「工藤君 あなたまさか」と反応する。

このやり取りは様々な憶測を呼ぶことになり、「倉吉」がボスの名前(名字)なのではないかとか、倉吉(鳥取)にボスがいるのではないかとの声も。

なぜ「倉吉」を人の名前と解釈するような説が出たのかというと、この話の2年くらい後に有名なインタビュー(朝日新聞夕刊)で「ボスの名前はすでに原作のどこかに出ている 捜してみて下さい」と発言があったことも影響しているのかもしれない。

「名前はどこかに出ている」「捜してみて下さい」という表現は、どこかにこっそり名前だけ出しているというニュアンスでも解釈できるため、それが「クラヨシ」さんであり、灰原はコナン達がボスの名前を出したから驚いたのではないかということ。

しかし、前後のやり取りまでちゃんと読めば「倉吉」が人の名前でないことは確かである。

「クラヨシ」は人名ではない

歩美:「コナン君もその事件の時いたんだよね?」

コナン:「ああ・・・」「その時の事情聴取の合間に本山さんが携帯でかけた電話が・・・」「なんかこう・・・・・・」「ひっかかってて・・・」「どこに電話したか知るために、本山さんのHP見てるんだけど、その電話の相手は書き込んでねーし・・・」

灰原:「ひっかかるって・・・何が?」

コナン:「あ、いや大した事じゃねーんだけど・・・」「事情聴取中に電話するなんて誰かなーって思ってよ・・・」「能勢選手が亡くなった事を親や家族に知らせるのはすでに警察がやっていただろうから・・・・・・」「かけるとしたら、本山さん本人の知り合いだとは思うんだけど・・・」「あーくそ!あの時本人にかけた相手を聞いときゃよかった・・・」

博士:「・・・・・・」「もしかして、小森選手じゃないか?」「ホレ、ジャガーズに本山さんや能勢さんと同期入団したプロ野球選手じゃよ!」「シーズンオフの旅番組によく三人で出ておって、仲が良さそうじゃったから・・・・・・」

コナン:「親友の死を知らせた可能性はあるってわけか・・・」

博士:「確か四年前に引退して、実家の旅館の跡を継いだそうだ・・・」「確か、鳥取の倉吉って所じゃったかのぉ・・・」「一度TVで紹介されていたが、なかなかいい旅館じゃったぞ!」

コナン:「あ・・・そう・・・・・・」(どうやら黒ずくめの奴らとは関係なさそうだな・・・) File:466

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まず、例のコナンと博士の会話は同乗している歩美から始まっている。また、途中で灰原が「ひっかかるって・・・何が?」と口を挟んでいるように、灰原も会話に参加している。

そうでなくとも、この会話の前には天体観測についてコナン&灰原と探偵団が話をしているし、後部座席に座っているコナンと運転手である博士の会話は狭い車の中なので全て灰原に聞こえている。

会話の一連の流れは「本山さんがどこに電話をしたか気になる~」⇒「親友の小森選手ではないだろうか?」⇒「(電話の)場所は鳥取の倉吉じゃった~」。

灰原の「工藤君 あなたまさか」は、「工藤君もしかしたら「倉吉」のことを~」と気になったのだとしても、話の内容を全て把握している灰原が、博士の「鳥取の倉吉って所じゃったかのぉ」という台詞からコナンが「人名の「クラヨシ」に近づいているのではないか?」と連想はしない。

コナンと博士の会話の「倉吉」が地名を指していることは明白。仮にボスの名前が「クラヨシ」であったとしても、それを聞いて思わずビクっと驚いてしまうことはあっても、コナンがまさかボスを調べているのではないかとは考えない。調べているのは地名であり、人の名前ではないとわかっているから。

灰原は突然耳に入った「クラヨシ」に反応したわけではなく、コナンが本山さんが電話をした場所にひっかかると疑問を感じ、その場所が倉吉である可能性が高かったことで心配しているのである。

倉吉(鳥取に)何かある?

「倉吉」は地名。それも、博士が「鳥取の」と言っているのだから鳥取の倉吉である。では、なぜ灰原は鳥取の倉吉に反応したのか。

もう一つの説として、鳥取の倉吉にボスがいるから、もしくはボスの本拠地があるからとか。これならコナンが鳥取の倉吉が気になっていることに対して疑いをかけるのは納得はできるかもしれない。

と思えるかもしれないが、コナンは本山さんが「どこか」に電話をかけたことが引っかかっていたのであって、知りたいのはその場所。倉吉の地名は博士が後出ししたことなので、コナンは最初から倉吉に気づいていたわけではない。

コナンは犯人がかけた場所が倉吉であったことを知らなかったのだから、灰原が「工藤君 あなたまさか倉吉のことを~」と繋げるのはおかしい。

まぁ、灰原はコナンが本山さんの電話先を疑った本当の理由(プッシュ音にひっかかった)を知らないので、コナンが本山さんと組織の人間が関わっているかもしれないという何らかの証拠を掴んだと考え、それをきっかけに電話先を調べたら案の定その場所は組織の基地のある倉吉であった… とも考えられなくもないか。

そして、上記の名前説と基地説については後にインタビューで公式に否定されることになる。

作者インタビュー

Q:「ボスは倉吉にいるのですか?」
A:「いません、倉吉の人はみんな良い人ですよ。」 (話そうDAY 2012)

「倉吉にボスはいない」

これだけならボスはいなくても、もしかしたら本拠地や研究所はあるのかもしれない。

Q38:黒ずくめの組織と鳥取県はなにか関係あるのですか?

ありません(大笑) (SDB60)

だが、その後のインタビューによると「黒ずくめの組織と鳥取県は関係ない」ということがわかる。これは倉吉だけでなく、後に出てくる鳥取の「八頭」も同様。(ベルモットの送ったメールが「0858」であれば、倉吉と見せかけて同じ市外局番の八頭でしたというオチもありえた。ただし、これは「#969」で確定。)

倉吉(八頭)にはボスもいないし基地もない。それどころか、鳥取県の他の地域にもないし、ボスや基地だけでなく、黒の組織と鳥取は無関係という全体否定。これは黒の組織を考察する上で鳥取を絡めて考察する必要はないという大きなヒントでもある。

倉吉だけでなく鳥取が読者から疑われるのは作者の故郷であるため、組織編の舞台にする可能性があるかもしれないというのが一つの大きな要因であった。

まあ、コナンは後に「この0858は奴らを束ねる総大将の名前や居場所の道しるべとなるメールアドレスかもしれねぇ」と推理するのだが、よく考えればこれがそのまま鳥取にボスがいます(基地があります)ではそのままである。要はこの時点で倉吉にボスがいる(基地がいる)と思わせるただのミスリード。

コナンは「それに何か0858と微妙に違ってたような気も・・・」と補足しているのだから、「0858」(倉吉)ではありませんということ。

ともかく、上記の説は公式に否定された。ここまでをまとめると、「倉吉」は人名ではないし、鳥取と黒の組織は無関係である。それではなぜ灰原は「倉吉」というキーワードに反応したのか。倉吉に反応したのに倉吉は組織に関係ないとはどういうことなのか。組織に関係ないなら心配する必要はない。

灰原が反応した理由

実は、灰原が気にかけたのは「倉吉」では”ない”と考えられる。灰原は「倉吉」とまさにそのキーワードで反応したのに、気にかけたのが倉吉ではないとなるともはや何を言っているのかわからないが、この伏線をもう少し広範囲で考えると見えてくる。

事の発端はコナンが本元さんのかけた電話が気になり、その場所が鳥取の倉吉と考えたことから始まる。その後、コナンは本山さんの電話に「ひっかかった」理由がベルモットがボスに連絡した時のプッシュ音の記憶とシンクロしたことだと気づく。

この箇所は読者向けには演出で最初からわかるようになっているが、コナン視点で気づいたのはその後の話で山村警部が実家の鳥取(八頭)に電話をした時。

コナンはパソコンで鳥取の倉吉と八頭の市外局番「0858」がベルモットの打った番号の音と似ていることを突き止め、ボスの名前や居場所の道しるべとなるメールアドレスを割り出せるかもしれないと考えた。(ベルモットは通話ではなくてメールをしたため、電話番号ではなくてメールアドレスとなる。)

しかし、コナンは同じ感じがするのは頭の「0850」の4桁で、それもまだ少し違うように感じた。結局、またその後の話でこの音が「七つの子のメロディ」であり、正確な番号は「#969」ではじまる音であると判明する。

つまり、倉吉とその市外局番である「0850」は、コナンがボスのメアドである「#969~」にたどり着くまでの布石に利用されただけの話であって、ボスのメアドとは無関係である。(0858の市外局番自体はただの勘違い。)

なので、灰原はコナンが「倉吉」にある組織の秘密を探っているだとかクラヨシさんのことを知っているだとかを疑ったわけではない。これは上記の流れからインタビューがなくても見当がつく。

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