映画【異次元の狙撃手】まとめ

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金曜ロードショーも終わったことだし、映画のファーストインプレッションは去年書いているので、今回は完全に映画本編の内容についての考察です。原作と繋がる点については同じく去年まとめているので省略。

異次元は連続狙撃事件。登場人物が次々と殺害されていってしまうということもあり、その分多くのキャラが登場してくるので複雑。でも、「犯人はこの中にいる!」ではなくて、シナリオの進行で犯人が絞られていくというのもあり、最後はわりと犯人の見当が付いたという人が多かったようです。(実は、パンフレット見ると予測がついてしまうという運営のミスもあった?ようです。)

ですが、そこは「なんとなくこの人だろうと思ったらやっぱりそうだった」というのではなく、きっちりと証拠を提示してこそ推理。どの段階で絞ることができたのか。重要なポイント、伏線はどこだったのかをちょっと整理します。

正直、最初は比較的簡単にまとまるかなと思ったんですが、とにかく情報量が多くてめんどうでした。そして最初にノベライズと劇場版をサラっと比較して大体同じだと思ってたのですが、一度記事を書いてから最終チェックに劇場版も見直してみたら、大事な部分が違うことに気づきました(笑)

箇所は少ないのですが、年末の失踪事件のようにストーリー自体が変ってしまうような重要な部品が抜けているではないか…

劇場版と小説版で推理フローが大きく異なってしまうのでどうまとめるか迷いましたが、一応小説版ベースです。一応修正はしましたが、直し切れていないところがあるかもしれません。

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全体構成

小説版だと本編は12P~199P。劇場版は毎回この程度の尺なのでいつも通り。

序盤38Pまではベルツリータワーで殺人事件が起きる、導入に当たる部分。コナンと世良がそれを追いかけるアクションで最初の山場となっている。

一方で157Pからは沖矢、コナンがサイコロのメッセージの意味に気づいてベルツリータワーに向う。そして、FBIがスコット・グリーンを確保して残る容疑者は一人となるので、ここはもう解決編。劇場版ではお決まり最後のアクション。

しかし、実は、コナン(ジョディ、世良)は110Pの時点で容疑者を二人までに絞っている。(二人と言うか、一人はアリバイがあるので犯人は確定で、もう一人は協力者なので計画に関わってると言う意味では二人とも正解ではある。)それまでにコナンがそう推理できるだけの根拠が作中にもあり、それより後はシナリオの進行で犯人が具体的に絞られていくことなるので、ここまでをタイムリミットとするといつもの推理手順に感覚に近くなる。小説としてはまだ半分の位置なので異例かもしれない。(但しこれは小説版で、劇場版は終盤まで絞れない。)

また、異次元は終盤の伏線となる博士の発明品が例外的に二つあるために博士・探偵団の談話が二回あったり、セールスポイントの一つでもある原作組織編キャラの伏線、ネタ化されたパニック現象だとか、オールスターでそれぞれの活躍シーンを盛り込んだルパコナとは趣旨が違うものの、エンタメ要素を多く含んでいる。

そうなると、推理のポイントになるシーンはかなり少ないのだけれど、登場キャラの特長を個々に掘り下げていたりと把握しておくべき情報量はむしろ多すぎるくらい。

そして、その大事なところというのが、ほぼFBIが捜査状況を話す、映画を見ていると一気にトーンが落ちて退屈に感じるシーンだったりするんですが… 「なんかつまんねー」とボーっと観ていると、話そのものがわからなくなります。

皮肉にも、金ローのほうがアクションシーンのカットでテンポが良くなり、集中力を切らさずに見易かったような気も。一度劇場版を見ている人は内容理解してるというもありますが… この辺はテレビで初見した人がどう感じたか。

その代わり、異次元の魅力が迫力だったり、初登場の原作組織編キャラ紹介、終盤のエンドロールだったりするので、それカットしたら良さが… という。 まぁ、シナリオ部分削ったら話が成り立たなくなるので、切るならそこしかないんですが。

既に完成されたものを編集するとそうするしかないんですが、本当は、この作品すごい濃いんです。だから、内容的にはやや詰め込みすぎ感。重要なシーンだけ抜き取ると、論理問題のようにミステリー部分も楽しめる。小説版をじっくり読んだら、個人的には劇場版よりも面白く感じ、必ずしもアクションで魅力を引き出す脚本というわけでもないような気がしました。

推理としてはFBIが新情報を出してそれを元に現状を整理、その時点での予測をしながら徐々に真相に迫っていき、終盤には自動的に犯人がわかるという流れ。これはじっくり考えればもっと早く絞ることも。そこがじっくり考えると味が出てくる部分。

それと、異次元の一風変ったところに「コナンの推理ショーがない」というのがあるのですが、ということは、「私にはアリバイがあるでしょ」と言い張る犯人を論破する必要がない。

本来ならコナンの推理が決定的な証拠。あなたが犯人だ。「なぜなら~」の部分が根拠・伏線であり、回答に対する解説みたいなもの。

一応、サイコロの意味についての説明はされるのですが、「あのサイコロの意味は〇〇だ!」「だから犯人はあなたしかいない!」というのとはちょっと違います。

というか、あれを映画をみながら頭の中で三次元で描くのは容易ではない。かといって、小説版は画すらないのでもっと不親切(笑)グーグルマップで殺害現場をチェックして、それを結ぶ。でも、今回はそれだけじゃなくてそれを立体視させる。なんてことしながら読む人はいるのか。

でも、その救済として、というわけでもないかもしれませんが、実はこの伏線はなくても犯人の絞込みも動機も推理できます。じゃあ何のためにあるんだってことになるんですが、まぁ、演出です。

ともかく、異次元はコナンが推理で容疑者から犯人を絞り込むわけではなくて、「たぶんあの人に違いない」(というか、もうあの人しかいないといったほうが正しいか)という予測をして、最後はやっぱりそうだった。という、いわゆる現行犯の形で犯人が明かされるので解説がありません。それが、暖簾に腕押しというか、なんかすっきりしない要因の一つかも。

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名探偵コナン 異次元の狙撃手(スナイパー) 下 (少年サンデーコミックス ビジュアルセレクション)

最初のアクション終了まで

一応小説ベースです。前職の等級とか、劇場版とノベライズで細かい変更もありますが、その程度の箇所はストーリーや推理には影響ありません。

ベルツリータワーで物件のプレゼンテーションをしていた藤波宏明が殺害される。連続狙撃事件最初の被害者。事件の詳細については後にFBIに説明されることになるのだけれど…

コナンは再び窓の外に目をやった。すると、黄色い古ビルからほど近い高層ビルの屋上が一瞬光った。 P21

・・・

隅田川公園に面した高層ビルの屋上で、スコープ付きのライフルを手にした黒い影が立ち上がるのが見えた。

・・・

高層ビルの屋上でライフルをケースにしまった黒い影はニヤリと笑い、空薬きょうとサイコロを窓拭きゴンドラのレールの上に置いた。そしてゆらりと立ち上がると、レールを飛び越えて屋上を出ていく。

レールの上に残されたサイコロは『四』の目を上にして置かれていた ──。 P22

(あのビルの屋上から展望台まで五、六百メートルはあった。あの距離からの正確な狙撃・・・・・・まさかヤツらの仕業じゃ!?) P23

藤波はベルツリータワーから見える高層ビルの屋上からライフルで狙撃された。犯人は五、六百メートル離れたところから対象を撃ち抜くことができる凄腕のスナイパー。しかも、拳銃ならともかく、日本で狙撃用のライフルなんてものを所持している。

コナンは一瞬ジン、キャンティ、コルンの顔を思い浮かべるが、もちろん、パラレル世界の劇場版の話なので組織の人間は犯人というのは疑わしい。(過去に劇場版であったけど)でも、狙撃の腕は同クラスであることは確か。

そして、犯行後にわざわざ『四』の目を上にしたサイコロを残す。これが目撃者のいない殺害現場だと被害者のダイイングメッセージだったりもするのだけれど、犯人がサイコロを狙撃現場に置くシーンが描写されている。だからこれは犯人からのメッセージ。

まぁ、数字を残すというこの展開でもう、この後連続殺人になり次々と同じ事を繰り返していくのだろうと予測はつく。本来なら足が付くようなことはしない。でも、この犯人は挑戦か脅しか、復讐か自己満足か、何らかの意図を持ってリスクを犯している。

「え? ベルツリーにいたの!?」
「あの狙撃された男を尾行してたんだ。探偵としてね!」

・・・

「じゃあ、あの狙撃のこと知ってたの?」
「いや、まさか殺されるなんて・・・・・・」 P30-P31

世良はベルツリーで射殺された藤波を探偵として尾行していたが、殺されるのは想定外であった。

「まあ、確保は難しいだろう。シールズにとって、海は庭のようなものだからな」

「──!?」思いがけない言葉に、コナンと世良は思わず目を見張った。

シールズはUnited States Navy SEALs ── アメリカ海軍の特殊部隊のことだ。

(犯人はシールズ出身なのか・・・・・・!?) P37

犯人を追いかけるコナンと世良だが逃してしまう。後から駆けつけたジェイムズによると、相手はシールズの人間。どうやら、FBIは犯人の目星をつけているようである。現時点でわかることはこれだけ。

「夏休みの宿題、この東都ベルツリータワーとその周辺の模型を作るってのはどうですか?」 P18

その他、探偵団が夏休みに模型を作るというのが後の推理の重要なヒント。劇場版に限らず、一見日常に溶け込んでいる描写でも後々ちゃんと意味を持ってくる。話に直接関係しない夏休みの宿題なんて、「その部分丸々カットしても何の影響もないでしょ」というもので、わざわざ時間つぶし目的に入れない。元々尺が足りないのだから。

会話の中で出てくる浅草スカイコートが終盤の沖矢の狙撃場所になったりとかも一応伏線。これは別に忘れても問題ないけれど。

ちなみに、過去の作者インタによると小五郎の高所恐怖症の設定は劇場版のもので原作公式ではないそう。でも、そのうち逆輸入されるかも?

それと、犯人はスケボーで追いかけてくるコナンに気づいて振り向きざまに拳銃を連射している。小学生が自分が狙撃犯であることを見抜いて追いかけてきてるその時点で、何か色々おかしなことになっていると思わないのかと、改めて突っ込みたくなりました(笑)

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