江戸川コナン失踪事件【史上最悪の二日間】まとめと感想

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今更ですが、去年末に放送された20周年記念スペシャル「江戸川コナン失踪事件」の感想です。

アニメを見終わった後に、お正月に読むつもりで小説版を購入しました。複数の本屋で漫画コーナーから小説コーナーまでくまなく探したけど見つからず、めんどうなので結局ネットで購入。届いてから、「あーこのやつか」と納得しましたが、でも、同じ本の棚見たけどなかったぞ。

それから、結局読む時間もなく遅くなってしまいました。それでも、どうしてもレビューしておきたいなと思った理由は、アニメ版と小説版で内容が違うからです(笑)。小説を読もうとしたきっかけはアニメ版だけではどうしても理解できないところがあったので、それで確認をしたかったというのがあるのですが、まぁ、その理由は納得できました。

名探偵コナン 86 DVD付き限定版

4月発売のコミック限定版には「江戸川コナン失踪事件」DVD付きだそうです。

全体的な感想

アニメ版と小説版の比較

単刀直入に小説版のほうがいいです。まぁ好みの問題なんですが、それでもここではそう言ってしまいます。もちろん、アニメはアニメーションで見るという長所があり、灰原の猫かぶりや銭湯、アクションシーンなんかを楽しむには当然アニメのほうがいいです。キャラの活躍シーンだとか日常シーンだとか、いわゆるエンタメ、ファンサービスに近いところにあたる箇所。

だから、「灰原を愛でる作品」なんて意見もでましたが、そう評価されてしまうのも仕方なしというところがあります。実際脚本家の方は灰原のファンらしいのですが、でも、自己満足や一部のファン向けに書かれたものではなくて、実は内容もしっかりしているものです。

小説版のほうがいいと考える理由として、まずこの作品が小説向けであるとかの特徴と言うよりも、今回のアニメ化の方法の問題で、小説読者向けとアニメ視聴者向けで狙いを変えて意図的に内容が変更されています。その辺は好みも出るのかもしれませんが、(個人的に好みというより内容レベルで差が出たと感じます。)「名探偵コナン」として見るなら小説版のほうが近くなります。詳細は後に推理のレビューで説明します。

また、純粋に小説としてのクオリティが高いです。小説と言う大きな枠、またはミステリーとして比較をしてしまえば、他にいくらでもあるのであえてこの失踪を読む必要はないのかもしれません。でも、あくまで名探偵コナンとして比較として、決して漫画やアニメに劣りません。

メディアミックスでは、実写版なんかはあくまでファンサービスの要素が強いものだとしても、失踪の小説版は劇場版と同じくらいに、小説自体を目的として読む価値が十分にあります。だから、コナンファンなら小説でも「あえて」もあり。

実はルパコナも小説版を読みました。アクションシーンやギャグ、キャラクーが魅力のルパコナはアニメーションとしてはわかりやすく、全体的にトーンが低めの失踪は華はないかもしれません。(個人的にそれがいいと思うのですが。それに、近年の劇場版はともかく、失踪も決してアクションや盛り上がるシーンが少ないわけではないです。)

ルパコナはアニメ版と小説版を比較すれば、最初からアニメ嫌いやら活字中毒とかの嗜好がなければ、ほぼ満場一致でアニメ版が好かれるのではないかと。キャラの動きや効果音でのアクションシーンの表現、セリフのキャッチボールで進んで行くことが多いルパコナはあえて小説で読む必要性はそんなにないと思います。脚本あってのアニメ(映画)だとしても、先にアニメ化ありきで、小説版はアニメ版のセリフをやや強引に小説化しましたという印象。

一方で、失踪は画にはない活字表現がルパコナよりも魅力で、キャラの会話だけではなくて心情描写もとても多いです。アニメ版は状況描写や心情描写はカットされているので、それだけでもアニメ版と小説版で全く違う作品になっています。

アニメ版では不評であった同じシーンの繰り返しですが、アニメはまさに同じシーン、その編集だったりと手抜きっぽく見えてしまうのですが、小説版は同じシーンを灰原視点とコンドウ視点で別け、それぞれがその時何を考えて行動していたのかを表現したりしています。それに、同じ状況描写でも微妙に表現を変えていたり。だから、くどさはなくて読んでいて飽きることもありません。

また、ルパコナの場合これがポイントでそれさえ気づけばという箇所が少なく、決定的であるのに対して、失踪もまぁあるのだけれど、それだけでなく、行間を読む事で見えてくるヒントも多いです。つまり、さらっと流してしまうにはもったいないくらいで、アニメだと推理要素が出し切れていないくらいなのです。まぁ、出し切れないから方向性を変えたというのも、もしかしたらあるのかもしれませんが。

小説だと、これは90分という短い時間に収める必要のあるアニメにはない魅力ですが、アニメだとキャラの行動が唐突に感じたり、「もやっと」させたまま進んでいしまうような箇所もきちんと説明されているという点でも再確認ができて面白いと思います。

アニメ版は元々の期待も大きかったせいもありか、「史上最悪の2時間」なんて皮肉もあったりで、鍵泥のコラボだとか、コナンが寝たままでサブキャラが動くとか、そうした設定抜きでストーリー自体を楽しめたと感じた人は決して多くはなかったようですが、一度観てそう決めつけてしまうのは勿体ないと思います。

まぁ、でもアニメと小説は別に評価するべきで、初見で一般視聴者に良さを理解させることができないというのは、それは重要なことなので大きなマイナス要因として捉えられても仕方なしかもしれませんが…

コンドウと香苗のラブストーリーも素晴らしく、本来はすごく良くできている作品です。

名探偵コナン 江戸川コナン失踪事件: 史上最悪の二日間 (小学館ジュニア文庫)

内容について感じたこと

推理要素のないサスペンス?

これがアニメ版と小説版で内容が変更されているところ。アニメ版は推理に必要な決定的なシーンをわざとぼかしたり、重要な会話をカット、回想シーンを後に持ってきたりすることによって、視聴者に先を予測させないような作りになっています。

サスペンスだとかミステリーだとかの厳密な定義はともかく、アニメ版は確かにその路線。そのため、伏線の回収が後出し、ご都合主義になっているところも否めません。原作はちゃんと具体的な根拠を元に推理できるようになっています。

これは好みによるところですが、最初から「名探偵コナン」として、犯人を当てる意気込みで観ていた人には拍子抜けの展開であったかもしれません。

小説版とアニメ版で違うものにしたかったのか。アニメでは叙述的なトリックは活かしきれないので、そうした表現上の問題で方向性を変えたのか。あるいは、視聴者に合わせてさらっと流してみながら最後驚かせればそれでいいと考えたのか。理由はわかりませんが…

ただ、推理なしで気軽に観ても楽しめるかというとそうではなく、ヒントになるような箇所を大幅に改編、削ってしまっているので、むしろストーリーを理解するのが難しくなっています。初見だと、内容理解に務めるのに必死についていくのが目的になってしまうというか。

退屈な展開?

淡々と進むシーンが比較的多いので退屈に感じる時間帯がありますが、むしろそこが重要な箇所で、派手なシーンは推理要素とは直接関係のない単なる見せ場。つまり、面白く感じないのは話を理解していないからなんですが、それは見直してみるとわかります。

とは言え、大人が観ても内容を把握するのは難しく、子供はポカーンと口を開けたまま終わってしまったなんて声もあり。というのもまぁ、前述したアニメ版はヒントになってしまう箇所を削ることで、「この話はこういうことだったんだ」というのに後から気づかせるような狙いがあるので、序盤で話の概要を理解するのは難しい構成になっています。

本来なら活字で読む小説よりも、ボーっと見てるだけで映像が頭に飛び込んでくるアニメのほうが理解しやすいのですが、失踪に限らずミステリーとなると、最小限の描写で次々と流れてしまうアニメの方が断然難しくなります。理解できないものを面白く感じることはないので、それでちょっと厳しめの評価がされがちなのかもしれません。

後出しのネタバレうざい?

同じシーンの繰り返しだったり後出しだったりが多く、これは脚本家の特長らしいですが、特に珍しいわけではないと思います。

別に構成に凝ってお洒落してるだけではなく、それもありにしろ、それだけなら観てるほうはまどろっこしくてイライラするだけなのですが、ちゃんと意味もあります。

まぁ色々狙いとか目的があると思いますが、特に、灰原がエムを背後から襲おうとしてシーンとか。あの瞬間コンドウが三脚を掴んで灰原に銃を突きつける。普通に観てればその時点でコンドウが味方であることの予測はつくのですが、一応、灰原ピンチという描写。で、その後どうなったかまで書かれずに別のシーン。

後からコンドウは灰原と博士を助けに来ていたという事実が明かされるのですが、これを時系列でやってしまうと、コナンに仲間のことを託されたコンドウが別荘まで行き灰原を止めに入るという、なんの驚きもない展開になってしまいます。

それから、コナンとコンドウが爆弾をコンドウの部屋に仕掛けるシーンとか。あれも、先にネタばらししてからドカーンでは面白くありません。

アニメ版はサスペンス色を強くするため、いくつかの後出しシーンのタイミングをより遅くしていたりしています。数回あるシーンを1回にまとめたりしているのは収録時間の問題もあると思いますが、意識的にやってるのはほぼわかります。

コナンじゃない?

キャラクターについて、たぶんコナンのキャラ設定がブレているのだと思いますが、そういう声もありました。まぁ、個人的に気になるようなところはそんなにありませんでしたが。

劇場版なんかでは「名探偵コナン」であるためにある程度気を配っているようですが(インタでは、あんまり口出しはしないとも言っていましたが。)、書き手によって違いが出る。あくまでコラボ作品なので、割り切ってそれを楽しむのもありなんじゃないかと。

ラノベのアニメ化などで原作と全く違うキャラに変更しちゃったりしたら、それは原作ファンからの批評も出ると思いますが、名探偵コナンはもう国民的アニメ。例えばドラゴンボールの実写が醜くてもそれで原作の価値が落ちるわけでもなく、みんなもうわかっているというか。

まぁ、新一がクレヨン新ちゃんだったら設定崩壊ですが、微妙な差はあってもいいんじゃないかなと。もちろん、この作家のコナンは好きだけど、この作家は嫌いだとか、そういうのはありだと思いますが。

作中だと、「鍵屋のマル」が撃たれた時に、コナンが何もせずに死なせてしまったシーンなんかがこなんだったら助けるだろうなんて言われていますが、あの状況じゃどうしようもない(笑)まぁ、だから、原作の場合はああいう状況にはならないようになっているんですが。

白神様の事件でも、犯人が拳銃を持っていて自殺する可能性があったので手出しできず、それでも結果的にはその時刺された被害者は死なずに済んだのですが、死んでいたら同じ状況。

コナンがほとんど寝たままで、コナンの推理過程を経て話が進んで行くわけではないので、そこは名探偵コナンらしくないと言えばそうなんですが、この話のテーマはコナンが記憶喪失になっちゃった(とみせかける)ことであるので、それも仕方なし。

むしろ、名脇役が活躍する話になるのかと思ったら、結局は最初から最後までコナンの一人相撲だったという(笑)

コナンがあまり関わらない事件というのは、コナンは主人公なので活躍させないわけにはいかずあんまりできないそうですが、名探偵コナンらしくなくとも、たまにやるくらいならむしろ日常編でみてみたいと思うくらいです。

でも、蘭ねーちゃん「私もかわいそう」は気になったかも。灰原と小五郎は単で会う機会が少なく、ミステリートレインなんかでは小五郎の態度がそっけなけったりするのですが、この失踪の絡みなんかは新鮮でした。

トリックがない?

テグスを使った密室殺人なんて類のものはありません。まぁ、SPでそんなものやられてもという感じですが。トリックというか、カラクリは死亡偽装と依頼の横取りなのですが、シナリオの意図を理解しながら推理していくスタイル。日常編でもそういうエピソードはあるし、どちらかというと長編に多いです。それと、組織編が好きな人は楽しめるのではないかと。(ただし、小説版)

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更新日:2016-3-8
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