2巻 奇妙な人捜し殺人事件
10億円強奪事件
コナン:「!?」(そういえば、さっきエレベーターですれちがったあの女!!)(髪型や雰囲気はちがってるけど、あの体格と荷物の量!!)(もしかしたら!!)
蘭:「コ、コナン君!?」「ちょっとどこ行くのよ?」
コナン:「見つけたんだ!!」「雅美さんを!!!」
蘭:「え───っ!!」 File:16
「10億円強奪事件」の犯人の1人であり、仲間を殺害して逃走していると考えられる広田雅美。彼女は後に組織に命じられて犯行を行った宮野明美とわかる。この話が彼女の初登場。
組織の命令
ジン:「ごくろうだったな、広田雅美・・・」 「いや、宮野明美よ・・・」
明美:「一つ聞いていいかしら?」「あの大男を眠らせるために、あなたにもらったこの睡眠薬・・・」「飲んだとたんに、血を吐いて動かなくなったわ・・・」「どういう事?」
ジン:「フ・・・」「それが組織のやり方だ」
コナン:(どこだ!?)(どこだ!?)(どこだ!?)
ジン:「さあ、金を渡してもらおうか・・・」
明美:「ここにはないわ・・・ある所に預けてあるの・・・」
ウオッカ:「なにぃ!!」
明美:「その前に妹よ!!」「約束したはずよ!」「この仕事が終わったら、私と妹を組織から抜けさせてくれるって・・・」「あの子をここへ連れて来れば金のありかを教えるわ・・・」
ジン:「フ・・・」「そいつはできねー相談だ・・・」
明美:「な!?」
ジン:「奴は組織の中でも有数な頭脳だからな・・・」「奴はおまえとちがって組織に必要な人間なんだよ・・・」
明美:「じゃあ、あなた達最初から・・・」
ジン:「最後のチャンスだ・・・」「金のありかをいえ・・・」
明美:「あまいわね・・・」「私を殺せば、永遠にわからなくなるわよ・・・」
ジン:「あまいのはお前の方だ・・・」「だいたいの見当はついている・・・」「それにいっただろ・・・」「最後のチャンスだと・・・」 File:16
明美は組織に命じられたとおり10億円強奪を成功させたものの、組織は「自分と妹を組織から脱退させる」という約束を破り明美を射殺する。
ちなみに、ドライバー役を殺ったのはもう1人の仲間の大男。その大男を殺ったのは宮野明美であるが、組織に「睡眠薬」と言われて渡されたものを飲ませたため。これが「組織のやり方」。
故意ではなかったが殺害したのは宮野明美であり、強盗も成功させている。ということで、組織のメンバーとして居続けるわけでもなく、逮捕させて終わるというオチにもできない彼女は漫画的にはこうなるしかなかったのかもしれない。
宮野明美の死
コナン:「蘭ねえちゃん、早く救急車を!!」「それにおじさん達にも!!」
蘭:「う、うんわかった!!」
明美:「む、無駄よ・・・もう手遅れだわ・・・」
コナン:「しゃべっちゃダメだ!!」「しゃべると傷口が・・・」
明美:「ボ、ボウヤは確か、探偵事務所にいた子だったわよね・・・?」
コナン:「・・・・・・・・・」
明美:「どうしてここがわかったの?」
コナン:「発信機さ・・・」
明美:「え・・・?」
コナン:「最初に探偵事務所で会った時に、偶然あなたの時計につけてしまったんだ・・・」「それを追ってたら、あほホテルにたどりついて・・・」「そこであなたと遭遇した・・・」「大きな荷物を運ぶあなたを見て、奪われた10億円を持ち去るところだとわかったんだ・・・」
明美:「あ、あなたはいったい!?」
コナン:「江戸川・・・」「工藤新一・・・」「探偵さ!!」
明美:「探偵・・・?」「あ、あの時計にそんな物を・・・・・・」
コナン:「でも、あれはあの大男の時計だったんだね・・・」
明美:「いいえ、あれは彼が勢い余って広田さんを殺してしまった時に、広田さんが抵抗して、彼の時計が壊れたから、私のをあげたのよ・・・」「フフフ・・・計画は完璧だったのに、みんな死んじゃったわ・・・」「運転技術をかって雇った広田さんも・・・」「腕っぷしを見込んで仲間に入れた彼も・・・」「そ、そしてこの私も組織の手にかかって・・・」
コナン:「組織・・・?」
明美:「謎に包まれた大きな組織よ・・・」「ま、末端の私にわかっているのは、組織のカラーがブラックって事だけ・・・」
コナン:「ブラック!?」
明美:「そ、そうよ・・・」「組織の奴らが好んで着るのよ・・・」「カ、カラスのような黒い服をね・・・」
コナン:(ま、まさか!!)(黒ずくめの男!?)「!?」
明美:「さ、最後に私のいう事・・・」「聞いてくれる・・・?」「10億円の入ったスーツケースは・・・ホテルのフロントに預けてあるわ・・・」「そ、それを奴らより先に取り戻してほしいの・・・」「もう奴らに利用されるのは・・・」「ご、ごめんだから・・・」「頼んだわよ・・・」「小さな探偵・・・」「さ・・・」
コナン:(彼女のいったとおり、10億円はホテルのフロントに預けられていた・・・)(奪われた10億円と札番号が一致し、死んだ三人の犯行が明らかになった・・・)(彼女の近くに落ちていた拳銃からは彼女の指紋が発見され・・・)(彼女は罪に耐えかね、自殺したとされ、事件は幕を閉じた・・・)(だが、本当の首謀者は、闇に消えた・・・)(でもいつか・・・)(いつか必ず!)(このオレが、闇から引きずり出してやる!!!) File:16
強盗仲間のことを思っているところは明美らしい性格。コナンは明美に自分が工藤新一であることを告白する。明美はコナン自ら正体をバラした数少ない人物。
また、明美はコナンを信用して組織の存在を明らかにし、強奪した10億円のありかを教えて組織がそれを手に入れるのを阻止してくれるようにお願いする。10億円はホテルのフロントに預けられていたので、組織には渡らなかった。明美は蘭や小五郎が戻って来る間際に息を引き取る。
拳銃からは明美の指紋が見つかり、警察は罪に耐えかねて自殺したと判断した。コナンは自分の存在を組織に明らかにできないし、組織が殺ったという証拠もない。明美が自殺ではなく、他殺だということを証言することもできず。これは後に、灰原の警告などにより「組織のことを知ったら消される。自分だけでなく周囲の人間にも危害が及ぶ。」という脅しで、警察に言うことができないもどかしい設定となる。
明美に使わせた拳銃をジンが指紋をつけずに使用、拳銃からは明美の指紋しかでない。それで明美が自分で撃った。とまぁ単純に考えればそうなるのかもしれないけれど、遠距離からの射殺か自殺かなんて、きちんと調べればわかるのではなかろうか。時既に遅しだが…
明美はコナンが守ろうとして守れなかった1人であり、そのことが、自身にさらに組織へ対抗する強い気持ちを与えることになった。これは後の8巻、「ピアノソナタ『月光』殺人事件」と被るところがある。この事件も、コナンが推理で犯人を追い詰めて自殺させてしまった(犯人は殺人を止めてほしかったが、事件を止めることができなかった。)話として、コナンに遺恨を残した。
明美は死に際に「頼んだわよ小さな探偵さん」と言っているが、月光事件の浅井成実も死に際に「ARIGATANA、CHIISANATANTEISAN」(ありがとな、小さな探偵さん)と言っている。
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