シンフォニー号連続殺人事件【影の計画師】

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影の計画師「叶才三」

「影の計画師」なんて厨二的な呼び名をつけられるほどイメージはかっこいい。謎が多くマジシャンのように秘密めいており、独特の価値観・正義感を持っている。うん、なんかこう考えると誰かさんのようだ。作者はわりと似たような設定というか、どうしても似てしまうというか、登場人物のキャラが被ってしまうことは往々にある。まぁ、そんなわけなので気にしないとして、叶才三は一度しか登場していない、というか登場すらしていない人物でありながら、それだけキャラも際立っている。そんな叶才三の魅力はまだたくさんあるので、ここでもう少し踏み込んで迫ってみたい。

叶才三の特長

服部:「影の計画師?」「・・・そうゆうたらガキの頃、オヤジに聞いた事あるなァ・・・昔、そんな男がおったって・・・」

小五郎:「本名は叶才三!20年前に起きた4億円強殺事件の主犯だよ・・・」「計画は綿密でスキがなく、修羅のごとき手際の良さで警察を煙に巻く人呼んで「影の計画師」・・・」 File:226

・綿密でスキがない
・修羅のごとき手際の良さ

綿密でスキがない慎重さは石橋を叩いて壊してしまうほど慎重居士な黒の組織のボスもそうであるが、石橋を叩いて壊すタイプは修羅のごときの手際の良さで仕事をするのは無理かと思われる。慎重、正確でありながらも、壊してしまうほどはバランス崩壊せずに、素早い判断と行動ができる叶は完璧な仕事人である。

また、叶は犯行中に誰も傷つけない不殺生がポリシーで、これは黒羽一族なんかも同じ。過去には悪徳企業やズル賢い業者からしか盗まない「ゴブリン」なんて窃盗団いたように、名探偵コナンの世界には悪い奴らなのに、そこまで人間捨ててない、恨めない犯罪者というのが多い。大抵は現在進行形というよりは伝説になっている。(現在進行形だと、追いかけて捕まえないといけないので。)

一方、組織のボスはウオッカの名言である「疑わしきは罰せよ」のごとく、人の命だろうがかまわず徹底的に証拠を隠滅する方針である。まぁ、自身は手を出さないという可能性もあるが、叶は自分が殺ってしまったことで自首を考え、その後足を洗うつもりであったのだから、そもそも殺しそのものに関して否定的で絶対にやらないという強い信念を持っていたようである。

しかし、この話はどこまで信用できるのか、というところもあるのだが。修羅のごとき手際の良さで警察を煙に巻く、犯行中に誰も傷つけないはずの叶が、防犯ベルに驚いて銃を乱射して行員を殺してしまったのだから。ここだけ見ればかなりダサい、叶はただのモブである。(ある意味、石橋を叩くほど慎重な人物が思わぬ事態に遭遇すれば、このようなパニックに陥る可能性はあると言えるかもしれない。)

だが、この話で叶に挑戦した鯨井ですら服部を騙す作戦を考えていた。叶が本当に「計画師」であったのなら、裏がないとも言い切れない。もしかしたら、不殺生というポリシーですら、先の先を考えた計画の一部だったり。こんなことを考えだしたらもはや切りがないのだが…

「そのヤマごとに仲間を変える一匹狼で、犯行中に誰も傷つけないのが奴の特長だったが・・・」「20年前のその事件で銀行員を一人殺っちまって以来、ばったりと姿を消した悪党だ・・・」 File:226

「そのヤマごとに仲間を変える一匹狼」これは叶の性格的な理由だろうか。同じ仲間と行動していると、一人が捕まった時にいもづる式に自分捕まる可能性が高まるからという実利的な理由もあるのかもしれない。(色々な人とつるむと、逆に足が付きやすいとも言えるが。)そうであれば、彼の慎重な性格が伺われるが、黒の組織はむしろボスと部下は強い絆、というか部下の組織に対しての強い忠誠心で結ばれているようなところはある。確かに「狼」ではあるけれど。

服部:「そやな・・・狼は狼を呼ぶ、探偵は探偵を呼ぶっちゅうこっちゃ!」 File:226

赤井:「立場は違うが・・・」「本質は俺達と同じ・・・奴らに噛み付こうとしている・・・」「狼達だよ・・・」 File:897

ちなみに、この話で服部が狼は狼を呼ぶと言っているのだが、組織=狼に噛み付くFBIや公安も狼なのである。「狼は狼を呼ぶ」とはまさにこのことか。

博士:<いっておったよ!主犯の叶才三は顔はわかっておったが、残りの三人の仲間はモンタージュで写真があるだけで身元ははっきりしなかったとな!> File:228

叶だけが顔が割れているというオチも。仲間は計画ごとに変えているので、犯行に目だし帽などを利用し、余程へまをしない限りは顔バレはしない。(4億円強殺事件ではモンタージュがあったようだけれど。)叶は何度も犯行を重ねているので、どこかのタイミングで顔を知られてしまったようである。

これも、顔が知られてるからベルモットの変装で、なんて、どうにでも強引な妄想ができてしまうのだが…

叶才三は本当に死んだのか?

こればかりは後付けでどうにもなってしまうところなのでどちらに転んでもおかしくないのだが、「生きているのは?」と考えられるフラグがいくつかある。作者に質問したら「死んでます~」なんてあっさりと返って来そうなところだが、どうせなら「想像におまかせします~」と夢を持たせてほしいところである。

鮫崎:「奴は死んじゃいねーぜ・・・」「あの上着は警察を振り切るための罠だ・・・」「奴はあんな所で簡単にくたばるようなタマじゃねえぜ、兄ちゃん・・・」「どーせ今頃どこかであの時の仲間と札束を数えているところだろーと思っていたが、まさかこの船に乗り合わせていたとはな・・・」 File:226

鮫崎警視は「奴は死んじゃいねーぜ」「奴はあんな所で簡単にくたばるようなタマじゃねえぜ」と言っている。ベテラン警視にそれだけ認められているくらい叶はやり手なのである。この話では叶の死を信じなかったがために、鮫崎警視は偽の亡霊に踊らされるというのもあるのだが、「奴はこんな所でくたばるようなタマじゃない」というのはちょっとしたフラグのようにも受け取れる。まるで、「殺されたと思われた叶であるが、何らかの策で生き延びた」といわんばかりである。

海老名:「コラ!危ないじゃないか!!」「もし落ちたりしたら・・・」

コナン:「あ、でも・・・」

磯貝:「そうよボウヤ・・・」「この広大な大海原に放り出されたら・・・」「ちっぽけな人間なんて無力・・・」「助からないわよ・・・」 File:228

広大な海に放り出されたらちっぽけな人間なんて無力、助からない。叶才三はその広大な海に投げ出されて死んでしまった。そして、同じように服部平次もその広大な海に投げ出されて死んでしまった… わけがない(笑)

蘭:「え~~~っ!?」「海に落ちたぁ~!?」「ウソ──・・・」

服部:「ウソちゃうわ!後ろから犯人にどつかれて落ちてしもたんや!」「気ィついてなかったんか?」

蘭:「でもよかったね助かって・・・」

服部:「海ん中漂っとったんをあの漁師のおっちゃんに助けてもろたんや!」「大変やったんやで?海ん中で服脱いだり海中電灯の光で遠くの船に合図送ったり・・・」「ちょっと心配せぇ!」

蘭:「服・・・脱いじゃったの?」

服部:「当たり前や!あんな物着とったら、水吸うて重たなってあっちゅう間に土左衛門やからなァ!」「捨てへんかったんはこのパンツと・・・」「いつの間にか・・・ポケットに入っとった・・・」「この御守りだけや・・・」 File:230

服部はどうやって助かったかというと、海の中で服を脱いでいたから。

服部:「けど変やなぁ・・・確かそいつ大分前に死んだてオヤジゆうてたで・・・銃痕と血ィがついたそいつの上着がどっかの浜に打ち上げられたて・・・」 File:226

そこで思い出してみると、血のついた叶の上着が浜に打ち上げられていた件。通常、上着だけが打ち上げられることはない。これは海で上着を脱いだから。海に投げ出されたら助からないと言っておきながら、実際は助かるというのを体現したのは、叶も死んだとは限らないということ。

犯人B:「だうろうな・・・この辺は潮の流れが早えーから、こりゃ死体は上がる前に魚のエサだぜ・・・」 File:225

まぁ、体はサメに食べられて、残った服だけが時間をかけて海を漂い流れてきたとも考えられるが。

コナン:「それで?叶は死んだっていってたか?」

博士:「ああ・・・弾痕と彼の付着した上着が浜に打ち上げられたから、警察では仲間割れによって彼は殺されたと断定したそうじゃ!」

コナン:<でもよくわかったな、それが叶の上着だって・・・>

博士:「上着の内ポケットに入っておったんじゃ・・・彼が肌身離さず持っていたという・・・」<娘を抱きかかえた写真がな・・・>

コナン:(な、なんだと!?) File:228

叶の死は直接確認されたわけではなく、あくまで血のついた上着が打ち上げられただけでそれ以上の根拠はない。警察が勝手に死を断定しただけ。この自己判断も漫画としては怪しいところ。

また、上着のポケットには肌身離さず持っていた写真が入っていたのだが、娘の渚が持っていたロケットには穴が開いていた。これは、そのロケットに銃弾が当たったということ。上着の内ポケットということは、胸、心臓部分である。つまり、そのロケットにより致命傷となる急所は外していると考えられる。少年漫画としてはありがちだが、名探偵コナンでも高木刑事が撃たれたり、コナンが刺されたりした時も同じように何かが縦になって助かっている。

犯人B:「ああ・・・体に四発・・・間違いなくあの世行きよォ・・・」 File:225

まぁ、全部で4発受けていて、その証拠に上着には血がついている。いくら致命傷でなくとも、それだけ銃弾を浴びて海に落とされたらさすがに厳しいかと思われるが、わざわざ急所を外しているのではというフラグを立てているのだから、かろうじて生きているという可能性も否定できない。

服部が大切な御守りを手放さなかったのに対して、叶はポケットに入れたままであるので、手にする余裕もなくそのまま死んでしまったとも考えられるが、”あえて”、ということも。

鯨井:「いいですな海は・・・」

蘭:「ヤな事みんなふっ飛んじゃいます!」

磯貝:「そうね・・・海は何もかも覆い隠してくれる・・・」「辛い思い出・・・不安な未来・・・そして・・・屍さえも・・・」

蘭:「し、屍ですか?」

磯貝:「あらごめんなさい・・・」「昔、海で父を亡くしたからつい・・・・・・」 File:225

「海は何もかも覆い隠してくれる」覆い隠してくれるのは叶にとって自分自身の存在。

打ち上げられた上着に写真入りのロケットが入っていたために、警察はそれが叶の上着ではないかと気づいたのである。ということは、叶は意図的にロケットを残したと考えることも。そうでなければ、叶の死は確認されず捜査は続き、自分自身を隠すことはできない。既に顔がわれている叶にとって、完全に自分を消すには死んだ事にするしかない。

鯨井:「・・・・・・勝ちたかったのさ・・・」「完璧な計画を組み立ててあの叶才三に・・・」「20年前、おまえの計画はザルだとぬかしたあの影の計画師を越えたかったのさ!!」「でもなぜだ?なぜあの事件に深く関わる人間がこの船にゴロゴロ乗ってんだ!?」「オレは広告に叶の名前なんて一文字も・・・」 File:230

叶は20年前、鯨井の計画を「ザルだ」と馬鹿にした。今回の話の鯨井もなかなか頭の良い犯人であったが、叶はその鯨井が「完璧な計画を立てた」「勝ちたかった」と挑戦した相手である。

鮫崎:「ハン、こいつははなから勝負にならねーなァ・・・なんたっておめえは20年間・・・」「叶に踊らされ続けていたんだからよ・・・」 File:230

鯨井は20年間叶に踊らされ続けていた。これだけ”できる”叶が、20年前にあっさり仲間に殺されるだろうか。結局、最後は影の計画師である叶の勝ちだというオチであれば、20年前に仲間に殺害さえることも叶の計画通りだったり。仲間は「うまくやった」と思っているが、実は叶の思惑に嵌っただけ…

叶であれば「自首しよう」と仲間に提案した時点で裏切られること、どのようにして仲間が自分を殺害するか、そのくらいのことは全て想定内であったのではと思われる。そして、彼ほどの人間であれば、死んだと見せかけて生き延びることも難しくはないだろう。

まぁ、彼が本当に不殺生をポリシーにしていたのなら、自らの死を持って罪を償おうと無駄な抵抗はしなかったにかもしれないが。そもそも、本当に行員を撃ったのが叶本人であれば、仲間は逃がして自分だけ自首すれば良かったはずなのだが…

実は行員を殺ったのは彼ではないが、表向き罪を被った。そうであれば、叶が防犯ベルに驚いて銃を乱射するという不自然な行動も納得がいく。世間からは人を傷つけたことのなかった彼が殺しをしてしまって以来パタリと消えたと、それが原因で姿を消したと思わせることができる。しかし、彼としてはそれは口実で、最初から足を洗う時はその作戦で表舞台から去る予定だったとか。

不殺生が演技で、最初から盗みを辞める時は人を殺してそれをきっかけに姿を消そうと考えていたのなら、それこそ計画師であるが。先の先まで読んで行動するのは、まるで来葉峠の作戦を考えたコナンのようであるが、逆に言えば、キレ者であれば将棋のように何手も先を考えて駒を動かすような、そんな行動を取ることも可能であるということ。

前述した、叶とキャラが被る殺されたと思われるマジシャンも結局は生きているようである。それならば、叶も同じように何らかのトリックで生きているのではなかろうか。来葉峠の赤井生存フラグと同じくらい、怪しげなフラグが多数ある。ここまで意味深な設定をしておきながら、何もないほうがむしろ不自然。というか、何もないなら意味深な設定は不要であろう。しかし、明らかに伏線としてしまうと、再登場やらでそれを回収しなければならなくなる。そのため、答えはでないようにしますが、まぁ想像で読み取ってくださいというか、そんな演出にしたのではないかと。

まぁ、どうなのかはわかりませんが、ここまで読者の想像力を掻き立ててくれるキャラはそんなに多くはない、なかなかロマンチックなキャラではある。

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更新日:2015-10-24
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