シンフォニー号連続殺人事件【影の計画師】

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コナンと平次の推理勝負

コナンと服部の意見が食い違い、どちらが正しいのか推理勝負をする。この話の一番の山場とも言える箇所であるが、同時にここが読者が間違った解釈をしてしまうところでもある。

コナン:「犯行が可能な残る人物はたった二人・・・」

服部:「そうや!ここでよーく見なアカンのは・・・」「熱硬直しとった死体のヒジが顔の前に来とった事と、ヒザが完全に折り曲がっとった事や!」「あら、死体を箱に入れた時、体を下にズラして両腕上げさせとった証拠やで!」「そんな事せなアカンのはあの人しかおらん!」

コナン:「・・・・・・と見せかけて実はあの人!殺されたと思わせてまだどっかに隠れてんだ・・・」

服部:「は?何ゆうてんねん?」「見てみい!この時計が何よりの・・・」

コナン:「おまえこそ何言ってんだ?それこそ犯人をトラップ・・・」

服部:「ほ──おもしろいやないか・・・」「ひさしぶりに推理が食い違たな・・・」

コナン:「ああ・・・最初に会った時以来だな・・・」

服部:「ほんならどっちの推理が合うてるか勝負といこうか?」 File:227

結果論で言えば二人とも間違った推理をしていたのだが、最初に起きた殺人事件でコナンと服部はそれぞれ違う推理をする。

では、二人はどんな推理をしたのかというところ。ここは「誰が犯人でなぜそうなのか」を具体的に話したわけではない。

眠りの小五郎であれば、素人に推理を聞かせて納得させる必要があるため、細かいところまで丁寧に説明をする。だが、このシーンはキレ者である二人が共通理解の上で話をしているため説明を端折っている。

そのため、読者が与えられた情報から自分で考えなければならない。これは恐らく意図的な演出である。

前提条件

二人がどんな推理をしたのかという前に、二人がその時点で推理に必要な情報をどれだけ持っていたのかという整理。

鮫崎:「くそ・・・黒焦げか・・・」「これじゃあ死亡推定時刻も、この仏が誰なのかもわからねーな・・・」

小五郎:「ええ・・・」「もしかしたらこの死体は、船内から姿を消した叶才三って事も考えられますな・・・」

鮫崎:「いや、よく調べてみんとまだ・・・」

海老名:「その人、蟹江さんじゃないんですか?」

鮫崎:「ん?」

海老名:「ホ、ホラ、その死体がつけている腕時計・・・」「私が彼に時間を聞いた時、彼がつけていた金の時計だと思いますけど・・・」

鮫崎:「いわれてみると・・・かなり燃えちまってるが、このセーターも蟹江さんが着ていた物だ・・・」

小五郎:「ズボンも確かこんなだったような・・・」

蘭:「そ、そんな・・・蟹江さんがどーして・・・?」

磯貝:「フッ・・・でも笑っちゃうわとね・・・」

小五郎:「わ、笑っちゃう?」

磯貝:「だって見てよ、その死体のポーズ・・・」「上半身起こしてわざわざ私達に時計見せているいたいじゃない?」

小五郎:「ああこれは・・・」

服部:「熱硬直や・・・」「焼けた死体はなぁ・・・骨格筋が温熱の作用で熱凝固して収縮し、熱硬直を起こすんや!」「手足曲げる筋肉は伸ばす筋肉より筋量が多い・・・そやから間接はみんな半分曲がってしもて、丁度ボクサーのファイティングポーズみたいなカッコになってまう・・・・・・」「つまり焼けた死体は勝ってにああなってまうっちゅうこっちゃ!」

磯貝:「へーそうなの・・・」

服部:「それより問題は、死体がつけとる腕時計の方や!」

小五郎:「時計?」

服部:「見てみこのベルト・・・」「外れてるやろ?」

小五郎:「そんなもん、死体と一緒に箱に入っていた、このガソリンの缶が爆発した時にはずみで外れたんだよ!」

鮫崎:「だろうな・・・この箱にかぶせてあったビニールシートもふっ飛んじまったみてーだから・・・」

服部:「ビニールシート?」

小五郎:「ああ・・・叶を捜しに警視殿とここへ来た時、かぶせてあったんだよ!非常用ハシゴって書かれたビニールシートがな!」

服部:「そんで?そん時ちゃんと箱の中身調べたんやろな?」

小五郎:「いや、シートは外からロープで縛ってあったから中に隠れてる奴はいないと思って・・・」「どーせあの時、箱の中には誰もいやしなかったよ・・・オレが叶捜しをあきらめてレストランに戻った時、まだ蟹江さんはいたんだから・・・」

服部:「・・・・・・」 File:227

発見された焼死体は損傷が激しく顔も死亡時刻も推定できないほどであったが、蟹江が付けていた金の時計をしていた。よく見れば、服装も蟹江のもの。

遺体は腕を曲げ、わざと時計を見せているようなポーズであった。いかにも、これは犯人が仕掛けた時計を強調させるトリックで、つけている時計だけで遺体が誰であるかを判断するのは危険ですよと思われそうだが、これは熱硬直と呼ばれる現象で特におかしなことではない。

また、小五郎が叶捜しをしていた時にこの箱を怪しいと考えて目をつけてはいたが、シートがロープで縛ってあったために、叶が中に隠れているとは思わず箱の中身までは調べなかった。

普通なら、準備の手間等考慮するとこの時既に中には遺体が入っていた。まさか中に人が隠れているなんて思わないため調査を免れ(それが犯人の狙い)、うまくすり抜けたと考える。そして、その時にはまだ蟹江はレストランにいた。

鮫崎:「なにぃ?覚えてないだと!?」「あんた、いってたじゃねーか!上のデッキでやっぱり奴は生きてたってよ!!」「ふざけるな!!」「さあ吐いて楽になっちまいな・・・」「奴ってーのは叶才三なんだろ?」

鯨井:「し、知らない・・・」「私は何も知らない・・・」「知らないんです・・・」

服部:(こらラチ明かんわ・・・)

小五郎:「警視殿!船員達に話を聞いて来ました!」

鮫崎:「で?どうだった?」

小五郎:「ええ・・・船尾で爆発が起こり蟹江さんが入れられた箱に火がつけられた頃、船長をはじめ我々乗客を除いた船員達は、全員二人以上で行動しており、アリバイは完璧です!」「つまり我々がここで銃声の様な音を聞き、上のデッキに駆け上がった時に爆発が起こったわけですから、火をつけられるのはあの時上のデッキにいなかった人物・・・」

鮫崎:「今もどこかに姿をくらましてる叶才三しかいないってわけか・・・」

磯貝:「あらもう一人いるんじゃない?」「ホラ、気分悪そうにして部屋に戻った亀田って人・・・あの後ずっと姿が見えないけど・・・」

小五郎:「そーいえば・・・」

鮫崎:「だったら早く部屋に行ってここへ連れて来んか!?」 File:227

デッキの上に残されたメッセージを見て驚いた鯨井であるが、そのメッセージの内容から当然、叶才三に関わる人物として鯨井は聴取される。しかし、鯨井は知らぬ存ぜぬの一点張り。

小五郎の調査によると船員達のアリバイは完璧で、火を付けることができるのはデッキにいなかった人物。焼死体が蟹江のものだとすると、犯人としてありえるのは姿を見せない叶才三と亀田だけである。

小五郎:「なんだよ・・・」「鍵が開いてるじゃねーか・・・」「あれ?いねーみてーだな・・・」

蘭:「だったら早くこの事鮫崎さんに知らせなきゃ・・・」「ねぇ服部く・・・」「ちょ、ちょっと!?」「どこ行っちゃったのよ!?」「服部君?コナン君!?」

・・・

服部:「おい!何か見つけたか?」

コナン:「ああ・・・この下の機関室で・・・」「拳銃の空薬莢と床に残ったわずかな血痕・・・」「そして妙な手紙をな!」

服部:「こっちはレストランの入り口の側にある男子便所のゴミの中から、クシャクシャにして捨ててあった変な紙切れ見つけたで!」

コナン:「オレが見つけた手紙の内容は「機関室で待つ古川大」・・・」「空薬莢と血痕・・・」「そしてこの死体のこめかみに穴が空いてるところを見ると、死体の人物が誰かに呼び出され、この箱の中に入れられたと見て間違いねーな・・・」

服部:「そやな・・・」

コナン:「お前が見つけた紙切れっていうのは?」

服部:「その手紙と同じワープロの字でこう書いてある・・・」「船尾で会おう「古川大」!」「こら誰かがあの鯨井っちゅうオッサンを呼び出した証拠やで!」

コナン:「なんで鯨井さんだとわかるんだよ?」

服部:「船員が二人見てたんやて・・・」「0時過ぎにこの船尾で青い顔して「おーい来たぞー」ゆうてるそのオッサンをな・・・」「ほんで、その船員二人がオッサンに声かけたらえらい驚いて、ここに来た事は誰にもいわんでください!」「──てゆうてスタスタレストランの方へ戻ってったそうや・・・」「その後、船員二人もここに誰かが来るんちゃうかと見とったけど誰も来ーへんし、持ち場に戻ろ思た時に上のデッキであの銃声が聞えたたてゆうてたで!」

コナン:「その時この箱に火は?」

服部:「もちろんまだついてへん!」「自動発火装置みたいな物もなかったし・・・」

コナン:「つまり犯人は上のデッキで銃声を驚かせ、みんなが上のデッキにあがってるスキにここに降りて来て、火をつけたってわけか・・・」「・・・・・・だとしたら鯨井さんのあの態度も無理ねーなー」

服部:「ああ・・・ヘタしたらここで一緒に焼き殺されてたかもしれへんねんからなァ・・・」

コナン:「残る問題は犯人が上のデッキで拳銃を撃った後、誰にも会わずにここに来る事が可能なのかって事だけど・・・」

服部:「まあ犯人の目星はついとるしそれがわかんのも時間の問題やろ!」

コナン:「え?おまえもわかってるのか?」

服部:「なんや、やっぱりおまえもか!」「ほんなら答え合わせしよか?」 File:227

いなくなった亀田の様子を見に部屋に向った小五郎達であるが、部屋には誰もいない。すぐにピンときたコナンと服部は周辺の調査を始める。

コナンは機関室で空薬莢と床に残ったわずかな血痕、そして手紙を見つける。これは、手紙で呼び出された誰かが機関室で銃殺され、それが発見された焼死体であろうと考えられる。もちろん、いなくなった亀田もそれに関係している。

服部が見つけたのは、便所のゴミの中の紙切れ。紙には「船尾で会おう「古川大」!」と書かれていたが、これは鯨井を呼び出した手紙と考えられる。

その理由として、鯨井が0時過ぎに船尾に青い顔してやってきて、「おーい来たぞー」と言っているところを船員が見ているからである。

その後、船員は誰かやって来るものだとしばらくそこにいたが、誰も来なかった。そして、持ち場へ戻ろうとした時に例の銃声が聞えた。その時まだ箱に火はついておらず、自動発火装置のようなものも見当たらない。

乗客が銃声に驚いてデッキに集まっている間に、犯人が船尾にやって来て火をつけた。ということは、犯人はその時デッキにいなかった人物(蟹江、亀田、叶才三)ということになる。

ここまでの情報で、コナンと服部は犯人に目星を付ける。

二人の推理の共通点

コナン:「まずは、叶才三を名乗る謎の老人・・・」

服部:「おまえがゆうてたとおり船から一遍出た後、戻って来たんを誰も見てへんのにいつの間にか船ん中おったっちゅうんやったら・・・」

コナン:「あれは犯人が仕掛けた・・・」

服部 コナン:「フェイク!」 File:227

コナンと服部は、叶才三を名乗る老人は叶を容疑者に仕立て上げるために犯人が変装して作り出した架空の人物と推理する。つまり、叶才三は犯人ではなく、現在姿を見せない亀田と蟹江のどちらかが被害者と犯人ということになる。

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更新日:2015-10-24
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