シンフォニー号連続殺人事件【影の計画師】

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鯨井の狙い

小五郎:「で?誰なんだ?あんたの命を狙ってる奴ってーのは?」

鯨井:「そ、それが・・・」「わからないんです・・・」

鮫崎:「フン!おまえらに裏切られた叶才三じゃねーのか?」

鯨井:「そ、そんなはずはありません!!」「あの人は20年前に仲間の銃弾を浴びて死んだはずですから・・・」

小五郎:「じゃあ仲間の誰かじゃねーのか?金を独り占めするために!まだあの金使ってねーんだろ?」

鯨井:「私も最初はそう思いました・・・」「で、でも何かがおかしいんです・・・」「つじつまがあわないんですよ!!」 File:228

鯨井は自分が20年前の強盗犯の1人であったことを打ち明け、狙われているので守ってくれとお願いする。つじつまがあわないというのは、金を独り占めにするために仲間が狙っているという事に対して。

元々、鯨井はこのこれらの犯行を復讐によるものだと思わせるように仕組んでいる。ポセイドンの置紙などで犯行声明をしたり、わざわざ遺体が見つかるようにする必要はなく、ひっそりと殺害して証拠を全て海に捨ててしまえば完全犯罪も可能であった。

鯨井:「おいボウズ伏せてろ!!」

コナン:「誰かいるよ!」「ホラ!船の舳先に!!」

鮫崎:「野朗ォ!今度は逃がさんぞ!!」

小五郎:「け、警視殿!」

鮫崎:「おい!おまえの逃げ場はもうない!銃を捨てて大人しく投稿しろ!!」「おい、叶聞いてんのか?」「おまえ叶才三なんだろ?」「おいなんとかいえ!!」「!?」「こ、これは蟹江!?」

小五郎:「そ、そんな・・・」「バカな!?」 File:228

外から銃弾が飛んできたと考えた鮫崎警視達は様子を見に飛び出すが、そこには死んだ、もしくは死亡を偽装して逃走していたと思われていた蟹江がいた。

鮫崎:「つまり・・・」「この船の舳先に潜んでいた蟹江が、レストラン内でペラペラ20年前の事を話す昔の仲間を見かねて射殺しようとしたが命はとれず!」「逃げ場はないと観念して自殺したってトコロだろう・・・」「バカな奴だ・・・」

小五郎:「し、しかし・・・おかしくありませんか?」「船尾で焼死した死体は、蟹江さんの服と時計をつけていたんですよ?」「あの死体はいったい誰だったんですか?」

鮫崎:「ありゃーたぶん船から行方不明になってるもう一人の仲間の亀田か、叶才三のどちらか・・・」「どちらにせよ殺ったのはこの蟹江だ!」「死体に自分の恰好をさせて焼き殺し、自分が死んだと思わせたかったんだろーよ・・・」 File:229

発見された蟹江は既に死亡していた。死体はまだ温かく、血も固まりきっていないことから自害と考える。また、蟹江がここで発見されたので、小五郎達は前に見つかった焼死体は行方不明の亀田か叶才三のもので、蟹江が自分の服を着せて偽装したと判断。

蟹江が自身の服を焼死体に着せて逃げ回っている。この殺人の犯人であると小五郎たちに思わせたかったのがポイント。実際は蟹江も殺された被害者。

「20年前の事を話す昔の仲間を見かねて射殺しようとしたが命はとれず、逃げ場はないと観念して自殺~」などと言っているが、殺害に成功したところで逃げ場はないので同じことなのだが…

小五郎:「しかしすごい腕ですな・・・」「急所には当たらなかったが・・・」「拳銃であんな遠くから狙撃するとは・・・」

鮫崎:「忘れたか!あの事件で叶が組んだ仲間の一人は、妙に銃器を使い慣れていた事を!」

小五郎:「そういえば、どこかの国の外国人部隊に所属していた男かもって所まで突き止めましたっけ?」

鮫崎:「ああ!そういつがあの蟹江だったってわけだ!」 File:229

4億円強殺事件の犯人の中には、外国人部隊に所属して銃器の扱いに慣れた仲間がいた。窓の外から射撃できるような人物はその人しかいない。小五郎たちはそれが蟹江だったと判断する。

「なんか二人で大声あげてたみたい・・・」「蟹江さんの体に撃たれた古い傷跡があるのを見つけたって・・・」

コナン:「ねえ・・・最初に叶って人を捜しに毛利のおじさん達がレストランから出た時ほかのみんなは・・・?」

蘭:「みんなバラバラに出てったよ・・・」「その時、服部君達と戻った時はみんなも戻って来てたけど・・・」

コナン:「・・・・・・」(なるほど・・・読めたぜ何もかも・・・)(この不可思議な事件の真相がな!!)(後は証拠をどーするか・・・) File:229

撃たれた古い傷跡が蟹江の体にあるのを小五郎たち探偵役に発見させることは、鯨井の狙いを達成する重要な過程。

鮫崎:「しかし、わからんな・・・わざわざ自分が死んだと見せかけて、ここに身を潜める理由が・・・」

小五郎:「・・・考えられるのは・・・」「次に殺す相手の目の前に突然姿を現しその相手に・・・」「恐怖を与える事・・・」「ぐらいですかね・・・」

鮫崎:「だからそうまでして蟹江は誰を殺したかったというんだ!?」「さっき撃たれた鯨井も昔の仲間だったんだろーが!!」

コナン:「・・・・・・」 File:229

そして、蟹江が身を潜める理由として考えられるのは「恐怖を与える事」と認識させる。しかし、それでは鮫崎警視の言う通り、「だからそうまでして蟹江は誰を殺したかった」と疑問が残る。

前述したように、金を独り占めするだけならそんな手間をかける必要はない。恐怖を与えるのは復讐的な要素が強い。だが、蟹江は強盗犯の一味であって、復讐される側である。

磯貝:「本当なの?事件が解けたって・・・」

小五郎:「ええ・・・何もかも解けましたよ・・・」 「この事件の真相がね・・・」

鮫崎:「まさかこの蟹江が犯人じゃねえっていうんじゃ・・・」

小五郎:「いや・・・」「犯人はその蟹江さんです・・・」「警視殿のいうとおり死んだと見せかけて身を隠し、殺す機会をうかがっていたんですよ・・・」「鯨井さん、あたなをね!!」

磯貝:「じゃああの焼け死んだ人は誰だったのよ?」

小五郎:「亀田さんですよ・・・」「まず最初に蟹江さんは亀田さんを呼び出して射殺し、船尾にある非常用のハシゴの箱の中に入れ、自分の恰好をさせて焼き殺したんですよ・・・」「死体を箱に入れた時、すぐに服を着せなかったのは警視殿が叶という老人捜しをあきらめるのを待ったから・・・」「服を着せるのに時間をとられると警視殿に見つかってしまう恐れがある・・・」「あの焼死体の両腕のヒジが顔の横に来ていたのがその証拠です!」「箱に入れる時腕をあげておけば、死体が死後硬直を起こしても服を着せやすいですからね・・・」「腕時計のベルトが外れていたのは亀田さんの腕に自分の時計が合わなかったからでしょう・・・」「そして火をつける前に蟹江さんは鯨井さんを船尾に呼び出し、あわよくば犯人に仕立て上げあげようとした・・・」「事件前に現場をうろついている人物は真っ先に疑われますから・・・」

磯貝:「でもなんで?」「なんでわざわざ自分が死んだふうに思わせなきゃいけないのよ?」

小五郎:「次の標的である鯨井さんの前に姿を現し、恐怖心を植えつけるためですよ・・・」「20年前に自分を裏切った仲間にね・・・」

磯貝:「裏切った?」

小五郎:「そう・・・叶を名乗る老人も恐怖心を与えるために彼が仕掛けた実態のない分身・・・」「御覧なさい・・・蟹江さんの体にある古い傷跡を!」「銃で撃たれたあの古い傷跡がなによりの証拠!」

海老名:「ま、ま、まさか・・・」

小五郎:「そうです・・・彼こそ20年前に死んだと思われていた・・・」「影の計画師、叶才三本人だったんですよ!」 File:229

小五郎:「・・・・・・」「その証言が聞きたかった・・・・・・」

磯貝:「え?」

小五郎:「すみません渚さん・・・予想はしていましたが確証を得たかったんです!」「犯人の目論見を完璧に崩すためにね・・・」

磯貝 鮫崎:「も、目論見?」

小五郎:「ええ・・・犯人はまるでその蟹江さんが射殺した亀田さんの死体に自分の恰好をさせて焼き殺し、自分は殺されたと錯覚させ、姿を隠したり発砲したりして我々攪乱し、昔の仲間である鯨井さんを船の舳先から狙撃した後に逃げ場を失って自殺したと見せかけたかったんですよ・・・」「あたかも蟹江さんの正体は叶才三であり、この洋上での殺人は20年前の裏切りによる復讐劇だとね・・・」

磯貝:「じゃあ犯人は・・・」

小五郎:「そうです・・・蟹江さんじゃありません・・・」「別にいるんですよ・・・」「この中にね・・・」 File:230

眠りの小五郎が最初に推理した内容そのものが、鯨井の考えた計画そのもの。コナンは犯人の目論見を崩すために、あえて間違えた推理をした。(鯨井の計画に嵌った。)そのため、これが鯨井の真意の解答でもある。

小五郎:「前にもいいましたが、蟹江さんを犯人に仕立てあげるには、この殺人は叶才三が起こし復讐劇だと見せかけなければ説明のつかない事件・・・」「犯人が老人に変装して乗船し、いったん外に出て変装を解き、再び乗船して、叶才三という幻影を作ったのも、」「上のデッキに叶をにおわす文字を書いた札を残したのも、全て、裏切った仲間への叶の恐怖の演出と思わせるためのもの・・・」「それもこれも蟹江さんの体にある銃で撃たれた古い傷跡を・・・」「20年前に叶が仲間に撃たれた時の傷だと錯覚させなければ成立しません!」

鮫崎:「じゃああの傷は・・・」

小五郎:「あれは恐らく昔、外人部隊におた頃に受けた傷・・・」「ホラ、いたでしょ一人・・・」「そんな経歴を持つ男があの犯人グループの中に・・・」「そう・・・そんな事を考えつけるのは・・・」「蟹江さんの体に古い傷がある事をあらかじめ知っている人物のみ・・・」

鮫崎:「ま、まさか!?」

小五郎:「昔の仲間である鯨井さん・・・」「あなたしかいませんよね?」

小五郎:「まずあなたはレストランで亀田さんが席を立つのを見て叶才三の名を出し、その騒ぎに乗じて機関室に行き呼び出しておいた亀田さんを射殺し、その死体を船尾の箱の中に隠した・・・」

鮫崎:「機関室だと?」

小五郎:「ええ・・・その時の血痕も空薬莢も呼び出しに使った手紙も機関室から発見済み、手紙は恐らく部屋のドアのスキ間にでも挟んでおいたんでしょう・・・」「そうしてレストランに戻った鯨井さんは、警視殿が叶捜しをあきらめる頃合いを計らって、レストランから出て蟹江さんと落ち合った・・・」「落ち合った場所は恐らくレストランわきのトイレ・・・そして、スキを見て蟹江さんを薬か何かで眠らせて彼の服を奪い、船尾に隠した死体に着せて例のタバコを仕掛けたんだ・・・」「その時、鯨井さんが船尾でわざと大声を出して船員に目撃させたのは、まだ死体の箱に火がついていないのを確認させるためであり、自分は誰かに呼び出されたというのを強調するため・・・」「呼び出しのメモをトイレのゴミ箱の中に残したのも、レストランで叶の名前に震え上がる振りをして蟹江さんの方から自分に近寄るようにしむけたのもそのため・・・」「きっと後であの紙マッチに呼び出しのメモが挟んであったとでもいうつもりだったんでしょう・・・」「上のデッキの旗に例のタバコを仕掛けたのは死体に服を着せる前・・・」「そうしておけば、音を聞いてみんなと上のデッキに上がり、船尾で爆発が起こればその時みんなと一緒にいたというアリバイができますからね・・・」 File:230

鯨井の計画は、まず蟹江が亀田を殺した犯人であり、自分が死んだと見せかけて逃走をしていると推理させる。そして、身を潜めて次のターゲットを狙っていると思わせつつ、お札に書いたメッセージで殺害の動機が金ではなくて復讐であると勘違いさせる。さらに、蟹江の体に残った銃痕から、蟹江が叶才三であると錯覚させ、復讐という殺害動機を一致させる。

蟹江に変装した叶才三が復讐を果たし、最後に自分を殺りそこねて自害すれば、鯨井はお金を独り占めにして、殺害の罪を蟹江(叶才三)になすりつけて自分は無実で逃げ切ることができる。これが一連の流れ。

磯貝:「でも、なんで最初蟹江さんを舳先に連れてった時に殺さなかったの?」

小五郎:「焼死体発見直後に蟹江さんが自殺するとトリックが不自然に見えてしまうからですよ・・・」「蟹江さんが死体に自分の服を着せたという偽装トリックがね!」「死体の両手を上げたのも、時計のベルトを外したのもそう推理させるためのフェイク!」「大阪から探偵役として服部平次を呼んだのもそのためだ!」「もっとも鯨井さんは、探偵役は我々にも務まると踏んだようですが・・・」 File:230

服部、というか探偵が必要だったのは、蟹江を犯人に仕立て上げるため。亀田と蟹江を最初に殺してしまうと、犯人は第三者となり計画が成り立たない。

小五郎:「ちなみにこのツアーの広告を出したのも鯨井さんです・・・」「恐らく20年前に約束をしていたんでしょうな・・・」「時効が明ける日にあの新聞に古川大の名で広告を出すとね・・・」「ここに仲間三人が集まったのは、どこかの貸金庫から20年間使えなかった例の金を引き出すため・・・」「20年前、貸し金庫を使うのに必要なのは鍵と印鑑とサイン・・・」「その三つを三人で分担して、顔を変えた仲間同士が20年後に再開する時の証にしたんです・・・」「つまり、サインを担当した鯨井さんには、印鑑と鍵をちらつかせていた亀田さんと蟹江さんが仲間だとすぐにわかり、犯行を開始できたというわけですよ・・・」

磯貝:「なるほどね─・・・二人を殺して鍵と印鑑を奪い、お金を独り占めする気だったのね・・・」

鮫崎:「バカな奴だ・・・」「せっかく時効が明けたっていうのに、こんな手の込んだ殺しをやらかすとは・・・」

鯨井:「・・・・・・勝ちたかったのさ・・・」「完璧な計画を組み立ててあの叶才三に・・・」「20年前、おまえの計画はザルだとぬかしたあの影の計画師を越えたかったのさ!!」「でもなぜだ?なぜあの事件に深く関わる人間がこの船にゴロゴロ乗ってんだ!?」「オレは広告に叶の名前なんて一文字も・・・」 File:230

大胆な計画ほど失敗した時にバレてしまうリスクは高まる。本来なら、わざわざ目立ったことはせずに、こっそり仲間を殺して見つからないように逃げる方法はいくらでもあるはず。しかし、鯨井がこんなややこしい計画を立てたのは、叶才三への挑戦的な意味もあった。

不運だったのは、鯨井が「あの事件に深く関わる人間がこの船にゴロゴロ」と言っているように、叶才三の娘が乗っていたこと。そのために、蟹江が叶本人でないことがバレてしまい、蟹江=叶と見せ掛ける計画が見破られてしまった。

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更新日:2015-10-24
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