シンフォニー号連続殺人事件【影の計画師】

sponsored link

犯人の仕掛けたトリック

縄はしご

鮫崎:「問題は、この蟹江が我々の捜索をどうやってかわしてここに潜む事ができたかだが・・・」 

コナン:「あれれーなんだこれ~?」

鮫崎:「ん?」

コナン:「ホラ、このおじさんの後ろに変なのが結んであるよ!」

鮫崎:「こ、これは」 小五郎:「縄バシゴ!!」

コナン:「ここならカクレンボしてても見つかりっこないね!!」

鮫崎:「なるほどな・・・」「蟹江はこのハシゴにしがみついて息を潜めていたというわけか・・・」

小五郎:「死体の手足に縄の跡が数か所ついていますし、そう考えて間違いないでしょうな・・・」 File:229

コナンがハシゴを発見。小五郎たちは姿を消していた蟹江がそこに隠れていたと考える。蟹江の手足には縄の跡ががついているのがその証拠。

「眠らせた蟹江さんをトイレから舳先に移動させ縄バシゴにくくりつけたのは、船尾の焼死体にみんなが集まっている時・・・」 File:230

実際は、鯨井が蟹江を眠らせ縄ハシゴにくくりつけていた。タイミングとしては、船尾の焼死体に集まって気を取られている時。

小五郎:「こめかみに一発・・・」鮫崎:「即死だな・・・」小五郎:「ええ・・・」

鮫崎:「死体はまだあたたかい、血も固まりきっていない・・・」「銃口をこめかみに押し付けて接射した焦げ跡も残っている・・・」「それに銃声がした時、この蟹江以外は全員あのレストランの中にいた・・・」「こりゃー蟹江が自分で自分の頭撃ったとしか考えられねーな・・・」 File:229

このトリックにより蟹江の殺害時刻をずらし、彼が鯨井を撃ち直前まで身を潜めていたと思わせている。

タバコと爆竹

(あ・・・)(くそっ・・・)(ん?)(焦げ跡・・・?)(・・・その先のはがれたペンキ・・・)(!!)(も、もしかしたら・・・)(ここにも!)(ここにも!)(ここにも!!!)
(そうか!これなら時間とみんなの行動を操作できる!) File:229

コナンは船尾で焦げ跡を見つける。そして、それを見て「時間を操作できる」と推理。つまり、蟹江と亀田以外の人物にも犯行が可能になるということ。この焦げ跡は、以前アリバイ工作に必要だが”ない”とされていた自動発火装置に変るものと考えられる。

鮫崎:「おいおい何言ってんだ毛利、おまえも知ってるじゃねーか?」「船尾で爆発が起こり人が焼き殺された時、ここにいる乗客はみんな上のデッキにいたのを!」「ほかの船員達にもアリバイはあるし・・・」「自動発火装置でもなきゃ・・・いくらなんでもそんなこたァ・・・」

小五郎:「タバコですよ・・・」「死体を入れた箱の中にガソリンをまき、火をつけたタバコを箱のスキ間にはさんで糸でとめておけば、10分くらいで糸は切れてタバコは箱の中に落ち、自動的に火をつけられる・・・」

鮫崎:「しかし、船尾で四発舳先で二発聞こえた銃声の様な音はどう説明する?」「あの時もここにいる乗客は全員・・・」

小五郎:「あれもタバコです・・・」「恐らく爆竹を取り付けたタバコに火をつけて手すりにテープで軽く張りつけたんでしょう・・・」「爆発したら証拠の品が海に消えてしまうように・・・」「手すりにあった焦げ跡とペンキがはがれた跡がその証拠です!」「ちなみに上のデッキで音がして旗が燃えていたのは、ガソリンでぬらした旗に同じタバコを取り付けていたため・・・」「つまり、そのタバコを使えば誰にでも犯行は可能になるというわけですよ・・・」

鮫崎:「じゃあ誰だ!?」「いったい誰だっていうんだ犯人は!?」

海老名:「・・・・・・」

小五郎:「それは・・・」 File:230

犯人はタバコを使い、ガソリンに火がつく時間を調整した。また、銃声も同じようにタバコで時間調整をして、爆竹で音を出したもの。証拠は海に消えてしまうため、焦げ跡とはがれたペンキがその証明となる。

ちなみに、このトリックは鯨井がタバコを吸っていたシーンが伏線となるが、海老名が財布を落とした件や、服部の大阪弁ほど伏線とわかるように描写されていない。

作者は例えばタバコを伏線とする場合、でかでかとタバコを吸うシーンをアップにしたり、「タバコ吸いますね~タバコ・・・」などと、くどい言い方をして描かないことも多いが、ちょっと見分け難いところでもある。

というのも、財布を落とすとか、コナンが大阪弁を勘違いするボケというのは良く考えればそれ自体意味のない描写であるが、タバコを吸うシーンというのはごく一般にある行為で、小五郎がタバコを吸ったりということはある。

仮に今回の話の自動発火装置がタバコ以外の手段を利用して作ったものであっても、このタバコを吸うシーンが宙に浮くことはない。他の話でタバコを吸うシーンがあったとしても、必ずしもタバコがトリックに使われるわけではない。そのため、タバコの場合はそれが伏線であるとわかる描写でないと、結果論それが伏線であったとなってしまう。

kujirai_cigarette_f256

鯨井がタバコを吸うシーンは「カチカチ」とライターの火がつかなかったり、マッチを「シュッ」と擦っているところが描写されているので、それがタバコシーンのクローズアップなのだが、ここは蟹江が鍵を見せて近づいてくるという伏線と被ってしまうので、それで見分けがつきにくくなっている。

また、鯨井はこの後「トイレに行く」と席を立った時に時限装置用のタバコに火をつけ、「ガチャ」と戻って来たところで銃声がなったという流れになると思われるが、鯨井のライターはつかなかったので、借りたマッチを使って火をつけたというオチなのだろうか、という疑問は残る。

マッチはタバコに火をつけてすぐに返したかもしれないし、これだけの計画を練っておいて、もし偶然マッチを借りることができなかったらというアホな展開すらありえたのだろうか。(客船ならどこからか調達できるだろうが…)

タバコを使ったトリックは思いついたが、鯨井のライターは壊れていたので、それを仕掛けたのは別の人物だ!と推理した人がいたら超人であるが、その考えは理に適っているとも言えるので、ここはちょっとした穴になっていると言えるかもしれない。

テニスボール

小五郎:「おいおいひでー血だなあ・・・」「こりゃー動脈が少々やられてるぞ・・・早く手当てしねーと・・・」

磯貝:「今、蘭ちゃんが救急箱を取りに行ってるわ・・・」「でもあんたホント運がいいわね・・・」「背広と腕に穴が空いただけで済んだんだから・・・」

鯨井:「・・・・・・」

鮫崎:「おい毛利あったぞ!弾が通った跡だ・・・」「蟹江が舳先からこの窓ガラスごしに発砲したのは確かなようだな・・・」

小五郎:「後はどこかにめり込んだ弾が見つかれば・・・」

海老名:「あの─・・・」「もしかしてこれですか?」「弾がめり込んだ跡って・・・」

鮫崎:「おお間違ーねえ!こいつだ!」 File:229

鯨井はあたかも銃声がなった時に外から撃たれたように演じている。「でもあんたホント運がいいわね」「背広と腕に穴が空いただけで済んだんだから」「・・・・・・」というのはフラグ。

外からガラス越しにターゲットを撃ち抜く射撃能力を持ちながら、止まって無警戒の相手に急所を外したのはあるいみ矛盾でもある。

コナン:「それよりなんなの?このテニスボール・・・」

蘭:「さっきレストランでコナン君を捜してたら、テーブルの下で拾ったのよ・・・」

コナン:「え?」

蘭:「誰のか聞いたけど知らないってみんないうし・・・」

コナン:「鮫崎のおじさんボール見て何かいってた?」

蘭:「ううん見る前にお父さんとまた舳先の方へ行っちゃったから・・・」 File:229

蘭はテーブルの下でテニスボールを発見。小五郎と鮫崎警視は舳先へ行ってしまったため、そのボールは見ていない。

「そして時間を置いて船尾に例のタバコを仕掛け、その音を聞いて我々が船尾に行っているスキに再び舳先に戻って、蟹江さんを引き上げて射殺し、舳先からガラスごしに自分の腕を撃って」「レストラン内に弾を撃ち込み、例のタバコを二つ仕掛ければ準備はOK!」「後は白状するからといってみんなをレストランに集め、爆竹が破裂するのを待つだけ・・・」「一発目の音と共に倒れたら、まるで舳先から狙撃されたかのように見えるというわけです!」

鮫崎:「し、しかしワシは奴が倒れた直後に傷口を見たんだぞ?」「あらかじめ腕を撃ってたんならもっと血が・・・」

小五郎:「テニスボールですよ!」「彼は腕を撃つ前から腕にテニスボールを挟んで動脈を圧迫し、血の流れを止めていたんですよ!」「爆竹の音がするまでずっとね・・・」「そのボールもすでに蘭がレストランのテーブルの下で見つけています・・・」「恐らくみんなが二発目の音に気を取られてるスキに放り投げたんでしょう・・・」

・・・

鮫崎:「後は証拠だけだが・・・」

小五郎:「あ、それなら後でガラスの弾痕のまわりを調べればOKです!」「きっとルミノール反応が出るはずです・・・ガラスごしに窓を撃った時にわずかに飛んだ自分の血を・・・」「鯨井さんがふき取った跡がね・・・」 File:230

鯨井はあらかじめテニスボールを腕に挟んで動脈を圧迫し、血の流れを止めた上で自分の腕を撃っていた。これと爆竹の仕掛けをあわせることで、外から蟹江に腕を撃ちぬかれたように見せ掛けるトリックを実現。

鯨井の行動が自作自演であることはわかりやすいが、テニスボールで止血という想定をするのはやや難易度が高いだろうか。

この部分の仕掛けはなかなか複雑で、迅速に行動しなければならない。非常に高度なテクニックを要する。

しかも、正直ものすごい我慢が必要だと思われるが… 銃で片腕を撃ちぬいた後の行動もはとても平生を保って行えるようなものではなく、説明されていないが痛み止め的な薬を使っていたのではないだろうか。

鯨井が服部を呼んだ理由

服部:「ちゃうちゃう!オレがこの船に乗ったんは変な手紙のせいや!」

コナン:「変な手紙・・・?」

服部:「ああ・・・一週間前、事件の依頼がしたいから小笠原まで来てくれっちゅう依頼料10万円入りの手紙がオレ宛に届いたんやけど、どーも変なんや・・・」「「古川大」って書いてあるだけで差し出し人の住所はないし、入っとったお金はみんな古い札ばっかりやし・・・船の乗り場でソレ見せたら、乗せてくれるておかしな事書いてあるし・・・」「オレは金もろて仕事受けた事ないから、直に会うて返したろ思うてこの船に乗ったんや!」「なんや面白そうな事件やしな!」「ホンマは羽田に着いた時、工藤・・・」「いや・・・毛利のおっさんも誘ったろ思たんにゃけど誰も電話に出ぇへんし・・・」「しゃーないから一人でこの船に乗って部屋で一眠りしとったら、おっさんにたたき起こされたっちゅうわけや!」

蘭:「じゃ──きっと電話したの丁度わたし達が出た後だったのよ!」 File:226

服部が船に乗ったのは事件の依頼が届いたから。(お金を返すため)服部は羽田を経由しているように、小笠原諸島は東京都特別区にある島。関東なら小五郎が有名であるのだが、わざわざ関西、それもいくら有能とはいえ高校生に依頼をしているには何か理由があるのではと考えられる。

(だから服部を探偵役として呼んだんだな!!)(でもなんで服部なんだ?)(そりゃー関西じゃ有名かもしれねーけど・・・) File:229

コナンもその点について疑問に思っている。ここはちょっと複雑だが、二つに分けて考える必要がある。コナンは「だから服部を探偵役として呼んだ」と納得しているのに、「でもなんで服部なんだ?」とまだ疑問を残している。

探偵役を呼んだ理由はわかったが、それが服部である理由はわからないのである。わかりやすく言い換えれば「探偵が必要で呼んだが、その探偵がなぜ服部でなければならなかったのか」わからないということ。

これはコナンの心の呟きが当たってしまっているのだが、「そりゃー関西じゃ有名かもしれねー」というところがポイント。

服部:「あ、この時計なおしといて!」

コナン:「え?」「この黒焦げの時計を動くようにしろっていうのか?」

服部:「ちゃうちゃう元の場所に戻しといてくれ、ちゅう意味や!」 File:227

コナンVS服部の推理勝負の会話の際、「元に戻して」の意味である「なおしといて!」がわからずに、「時計を動くようにしろ」と解釈してギャグオチになっているのだが、これが伏線であることはわかりやすい。

蟹江:「それじゃーオレはそろそろ抜けるぜ・・・」

磯貝:「私も抜けるわね・・・」

鯨井:「じゃあトランプはケースになおしてこのテーブルの上に置いておきますよ・・・」 File:226

実は、鯨井も同じ「なおして」という関西弁の用語を使っていたのである。

「もっとも鯨井さんは、探偵役は我々にも務まると踏んだようですが・・・」「大阪の探偵を呼んだのは、あなたが関西在住だからでしょ?」「我々関東の人間はカードをケースにしまう時「なおす」とはいいませんから・・・」 File:230

鯨井が服部を呼んだ理由(探偵を呼んだ理由ではない)は同じ関西出身であるから。

コナンのボケが一体何に繋がるのかというのも難しく、服部を呼んだ理由に重要な意味があるのではないかと受け取れるので、その理由が単純に出身が同じだからと導くのはなかなか困難。実際は、探偵役は服部でなくても誰でも良かった。

ただ、探偵が必要だから呼んだということを説明し、場所が小笠原であるにも関わらず関西出身の服部では何で服部?と腑に落ちない結果となるので、やはりこの説明は必要。

最初にこの話に服部を出すと決めた。でも場所は小笠原だからそのままだと不自然。じゃあ、犯人を関西出身にしよう… という手順で考えたために、ややこしい伏線となったのではと思われる。

次ページへ

sponsored link
更新日:2015-10-24
コメントはこちら