シンフォニー号連続殺人事件【影の計画師】

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その他の補足

鯨井のミス

この話はじっくり考えるとあれ?と思うようなところが結構あるが、ちょっと書き忘れたこととか。

蟹江=叶才三だと・・・

20年前の強殺事件は叶才三と仲間の3人が起こした事件である。仮に、鯨井の思惑通り蟹江と叶才三が同一人物であるとすると、仲間の3人のうち亀田と鯨井を除いてあと1人必要になるのだが、足りなくなってしまう。叶を名乗る老人がその1人で、既に殺されているという考えもできなくはないが… もしくは、犯行はあくまで復讐目的だと思わせているので、1人はたまたま乗ってこなかったので助かったとでも言い訳もできるか。

また、鯨井を撃ったのは外国人部隊に所属していた蟹江と思わせている。しかし、部隊に所属していたのは仲間のうち1人であり、叶ではない。蟹江を叶だと思わせてしまったら、なぜ叶があんなところから銃で鯨井を撃つという芸当ができたのかということになる。

鯨井にとって、叶の関係者が乗っていることは誤算であった。関係者でなければ銃痕を見て、それが死んだはずの叶であるという推理はできないのだが、恐らくその辺はニュースで得られる情報なので服部に誤解釈させるつもりであったのであろう。

それで、「外国人部隊」というのは捜査関係者だけが知っている情報であれば、蟹江が叶であっても矛盾はしないだろうか。しかし、それだと今度は逆に、あんなところから銃で腕を撃ちぬけるのか?トリックがあるのでは?と勘繰られてしまうが。

鮫島美海を殺害した人物

服部:「アホ、忘れたんか殺しの時効は15年やけど、民事の裁判は20年たたんと時効にならん。金返せゆわれたら返さなアカンで!」

鮫崎:「ああ・・・残念ながら指名手配をくらった叶の時効は切れてるが、ほかの三人の仲間のは成立してねぇ・・・」「叶をとっ捕まえて仲間の居所を吐かせたら、うまくすりゃー金は取り戻せる!」「もしかしたら仲間もこの船に乗り込んでるかもしれねぇしな・・・」 File:226

叶才三の時効が切れているということは殺人の15年。仲間は20年でまだ切れていないので、捕まれば金を返さなければならない。鮫崎警視も、叶を捕まて仲間の居所を吐かせれば、金は返ってくると考えている。

ということは、鮫崎警視の娘を撃ったのは叶才三ということになっているようである。

小五郎:「本名は叶才三!20年前に起きた4億円強殺事件の主犯だよ・・・」「計画は綿密でスキがなく、修羅のごとき手際の良さで警察を煙に巻く人呼んで「影の計画師」・・・」

「そのヤマごとに仲間を変える一匹狼で、犯行中に誰も傷つけないのが奴の特長だったが・・・」「20年前のその事件で銀行員を一人殺っちまって以来、ばったりと姿を消した悪党だ・・・」 File:226

小五郎も「20年前のその事件で銀行員を一人殺っちまって以来~」と叶がやったようなニュアンスで説明。

博士:「しかしイヤな事件じゃわい・・・防犯ベルに驚いた犯人の一人が拳銃を乱射して・・・」「その流れ弾に当たって、鮫崎という若い行員が一人犠牲になってしまったんじゃから・・・」 File:228

しかし、博士の説明だと、叶の話をしている時に補足として「犯人の一人が拳銃を乱射して~」とつけ加えているので、叶ではなくて他の仲間が撃ったようなニュアンスである。

叶は「計画は綿密でスキがなく、修羅のごとき手際の良さで警察を煙に巻く」ことから「影の計画師」と呼ばれるほどの人物。しかし、「防犯ベルに驚いた犯人の一人が拳銃を乱射」。

繰り返すが、「犯行中に誰も傷つけないポリシーを持ち、修羅のごとき手際の良さで犯行を重ねてきた人物」が、「防犯ベルに驚いて拳銃を乱射」…である。

修羅のごとき手際の良さは冷静な性格で経験を積んできた叶だからできること。それが、防犯ベルでパニック。人を傷つけない彼が一般人に向って拳銃を乱射するという危険な行為。ありえないと言っていいくらい特徴が矛盾している。

だが、小五郎と服部の会話からすれば叶が拳銃を撃ったと言っているのは間違いないようで、ここは実に不可解なところである。この話は細かい矛盾が多いので、設定ミスの一つか…?

昔の一万円札

「昭和の頃・・・ほとんどの日本人が持っていた大切な物・・・貴方はまだお持ちですか?」

蘭:「でもよかったわね!前のお札、大事にとっといて!」 File:225

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昭和の頃に持っていた物(前の一万円札)を大事にとっておいたというのはちょっとどうなのか?

コレクターのように古いお札を持っているとか、大人である小五郎の世代からすれば旧紙幣を持っているのはおかしなことではないけれど、蘭が「大事にとっといて!」とその経緯を知っているかのように言っているのである。

蘭が持っているお札は「聖徳太子」なので、確かに前の紙幣。でも、実は今の「福澤諭吉」に変ったのは1984年のこと。(2004年に様式が変るものの、肖像は諭吉のまま)

聖徳太子の支払停止日は1986年。名探偵コナンが連載されたのは1994年のことなので、16-17歳である新一と蘭は計算上1977年くらいの生まれである。

つまり、蘭は幼少期にこのお札を使っていたということに。まぁ、幼児が一万円札は持っていないだろうが、蘭は一万円札が聖徳太子から途中で福澤諭吉に変ったのをリアルタイムで経験している世代であり、普通に使われていたお札を小五郎がとっておいたということに特に違和感はない。

後から読み直すと、「昭和の頃に持っていた」を「大事にとっておいてよかった」なんて、「いつの時代の人間だよ!」と思えてしまうが…

三人の素顔

犯人A:「おい殺ったか・・・?」

犯人B:「ああ・・・体に四発・・・間違いなくあの世行きよォ・・・」

犯人A:「フン!影の計画師叶才三も海の藻くずか・・・」

犯人B:「だうろうな・・・この辺は潮の流れが早えーから、こりゃ死体は上がる前に魚のエサだぜ・・・」

犯人C:「で、でもよー・・・なにも殺すことはなかったんじゃないのか?」

犯人A:「馬鹿野朗・・・銀行員を一人殺っちまったぐれーで、自首しようなんて腰抜けを野放しにしておけるか・・・」「奴の面はすでに警察に割れてたしな・・・」

犯人B:「それよりどーすんだよ?あのヤバイ金・・・4億の内の3億は番号が控えられてるって話だぜ?」

犯人A:「心配するな・・・オレ達はもう大仕事をやってのけたんだ、後は時が来るのを待つだけだ・・・」「ホラよ・・・」「オレ達からの手向けだ・・・」「悪く思うなよ・・・」「ボス・・・」 File:225

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3人の男の誰が誰であるかは明らかにされておらず、皆お互い判別がつかないくらいに整形をしているため判断はできない。

恐らく、拳銃で叶才三を撃ったのが昔外人部隊に所属して銃器の扱いに慣れていたとされる蟹江是久。

残り二人は性格が全く違う。一人は「なにも殺すことはなかったんじゃないのか?」と殺しに抵抗があり弱気。

もう一人は「銀行員を一人殺っちまったぐれーで、自首しようなんて腰抜けを野放しにしておけるか」と殺しに抵抗がなく、「オレ達はもう大仕事をやってのけたんだ、」と強気である。

また、「影の計画師叶才三も海の藻くずか」と「悪く思うなよボス」とボスに対しての挑戦的な姿勢が見て取れる。

そのため、見た目が近いがニット帽を被った前者の男が亀田照吉。パーマのかかった後者の男が現在も白髪頭の癖毛であるが、今回の事件を企てて仲間を殺害し、叶才三に対抗心のあった鯨井定雄だと思われる。

あとがき

あとがきというか、記事量の問題で前書きがあとがきになりました(笑)

23巻「影の計画師」である叶才三が登場(登場はしてないけど)した印象深いあの事件。

日常編としてはシリーズ屈指の難易度。もちろん、トリック部分も伏線が細かく気付き難い、何に使われるのかわからない、途中までコナンが間違った推理でミスリードしたり… と、とにかく難解なのですが、眠りの小五郎の推理ショーが行われれば仕掛け自体は「ああ、そうなんだ」で納得できるのは他の話と同じ。

しかし、この事件は犯人が伝説の計画師に勝とうと挑戦しただけあって、知能犯であり、行き当たりバッタリで行った犯行ではないことが話を複雑にしている。

犯人は切れ者である服部をミスリード役に仕立て、真実は探偵のような推理の裏を突いてくる。案の定、小五郎や登場した元警視の鮫崎島治は犯人の思惑通りの推理。(といっても、小五郎はいつもその役だけれど。)それだけでなく、コナンや服部までもが途中まで犯人の目論見に嵌り踊らされてしまう。

そのため、話が入り組んでいて一度読んだだけで重要な点を理解するのは容易ではない。実は、それが理由で答え合わせが終わった後でも本筋のところを勘違いをしている読者がわりと多かったり。特に、普段直感や知識、経験に頼るところが多く、論理立てて考えることが苦手な人には難しいかもしれません。

伏線をわかり難くする、もしくはノーヒントにしたり、あまり知られていない科学トリックだったり、「そんなのできるわけねー」と納得しづらい話なんてのはある意味推理の難易度としては高い。

だが、この話を真に読み解くにはある程度の読解力が必要になってくるため、文学作品のようなところが魅力。日常編よりも組織編の推理が好きな人にとってはこうした話のほうが面白く感じると思います。

理系出身の作者だけに、科学薬品や自然現象を利用して「一見完全犯罪に見えちゃいます」というのが多いのかもしれませんが、こういう読み応えのある回というのは後で読んでも面白い。

これが、「シンフォニー号連続殺人事件」が、名探偵コナンの数ある「神回」として語り継がれるだけになっている要因の一つ。

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更新日:2015-10-24

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