そして人魚はいなくなった

sponsored link

事件の解説(君恵の狙い)

動機の偽装

禄朗:「おい、まさか寿美を殺した犯人と同一犯なのか?」

小五郎:「いや・・・まだそこまではわかっていないが、犯人が奈緒子さんの持っていた儒良の矢を持ち去ったのは確かだ・・・」

和葉:「え?儒良の矢を?」

君恵:「じゃあ行方不明の沙織も儒良の矢を失くしたって言ってたからもしかしたら・・・」

服部:「ああ、もうその犯人に殺られてもうたかも・・・」

コナン:「ただ言えるのは、最初に殺された寿美さん、次に殺された奈緒子さん・・・」「そして行方不明の沙織さんの三人が三人共・・・」「人魚の肉を食べたというあの命様の力を信じ、あの儒良の矢に執着していたという事だけだ・・・」「異様なぐらいにな・・・」 File:281

小五郎:「犯人の用意周到さからみてこの三件の事件は計画的犯行です・・・」「まず寿美さんを浮き輪を使って滝に吊り、彼女の通夜の席で奈緒子さんを絞殺し、その現場にあらかじめ残しておいた足跡に警察が目を向けている内に君恵さんを倉で焼殺した・・・」「しかも、最初の二件は矢にからんだ犯行、もしくはそれが殺人の目的だと見せかけている・・・」「とても行き当たりばったりでできる反抗じゃありませんよ・・・」

福井県警:「・・・・・・という事は・・・」

小五郎:「ええ・・・少なくとも寿美さんと奈緒子さんに矢が当たるのをあらかじめ知っていた人物でなければ、浮き輪も足跡もウロコも用意できませんよ・・・」「矢が三本共島以外の人間に当たればそんなトリックを考える事自体無意味ですからね・・・」

福井県警:「おいおいじゃあ犯人は・・・」

小五郎:「そう・・・」「祭りで矢の当たり番号を示した・・・」「命様ただ一人・・・」 File:283

寿美、奈緒子、沙織の三人とも儒良の矢に執着していたことは間違いないが、君恵はその矢を奪うことで、犯人は矢が目当ての犯行と思わせるように仕向けている。

小五郎:「しかしなんて事件だ・・・」「容疑者が絞れなければ動機も見当つかねーし・・・」「この三つの殺しが同一犯だという確証もない・・・」

服部:「ああ・・・共通点は滝で吊られた寿美さんも・・・」「網にからめられた奈緒子さんも・・・」「今回倉ん中で焼殺された君恵さんもみんな幼馴染やったっちゅう事ぐらいや・・・」 File:282

まあ、最終的に君恵自信も殺害されることになったせいもあってか、動機についてはかく乱としての効果にしかなっていないようだが。

しかし、「矢を狙った犯行」と見せかけたことで、殺害が計画的犯行であることから、「矢が当たるのをあらかじめ知っていた人物」と逆に犯人が誰であるか突き止められるきっかけとなってしまっている。

君恵:「だから殺したのよ・・・寿美も奈緒子も・・・」「呼び出すのは簡単だったわ・・・祭りで矢が当たったら墓の場所を教えるって言ったら二人共目の色変えてたから・・・」「あれは母さんの・・・」「私と二人きりでがんばってた母さんのお墓なのに・・・」 File:283

儒良の矢を寿美と奈緒子に当選させたのは「矢が当たったら墓の場所を教える」と約束して呼び出すためでもあったが、それなら他にも方法があったのではと思われる。

犯人の偽装

島人:「あら、沙織ちゃんなら昨日祭りの日の朝、人魚の滝の辺りで見かけたわよ?」

服部:「え?」

島人:「そういえばワシも見たよ・・・滝のある森の中で遠くにいるのをチラっとな・・・」

島人:「私もそうよ!でも声をかけたら逃げちゃって・・・」

服部:「ホンマそれ沙織さんやったんか?」

島人:「間違いないよ・・・茶髪で眼鏡の娘はこの島であの子しかいないし・・・」

島人:「沙織ちゃんいつも青っぽい服着てるから・・・」

服部:「それがホンマやったら沙織さんは何かから逃げてて、みんなの前に出られへんかったっちゅうこっちゃな・・・」

服部:「なんや?どないしてん!?」

蘭:「い、いたのよその庭に・・・」「ちゃ茶髪で眼鏡かけた人が・・・」

和葉:「アタシらをじーっと見ててん!!」

服部:「ま、まさか沙織さんが!?」 File:281

小五郎:「しかし問題はどうして君恵さんが青い服を着て眼鏡をかけて、沙織さんのようなカッコをしていたかという事だ・・・」

服部:「まあ死んだんは君恵さんやのーて沙織さんやて思わせるために、犯人がそんなカッコをさせたっちゅうんが筋やけど・・・そんな事して特するんは今 行方不明の沙織さんぐらいや・・・」

小五郎:「じゃあまさか犯人は沙織さん・・・」

服部:「・・・・・・か、もしくはそう思わせたろ思うてる誰かか・・・」

コナン:「頭痛薬とか歯ブラシとか着替えが入ってるけど・・・」

禄朗:「沙織の家出セットだよ・・・」「まあ行き先は大体君恵の家だったから、最初から向うに着替えや替えの眼鏡は置いていたみたいだが・・・」

コナン:「じゃあ焼け死んだ君恵さんが身につけていた眼鏡や服は、自分で着た物かもしれないね!」

小五郎:「バーカ!そんな事して何の意味が・・・」

コナン:「犯人をおびき出すため・・・」「な──んてね・・・」

小五郎:「ハハ・・・バカな・・・」

蘭:「そういえば昨夜、君恵さんが倉に行く前に言ってたよ・・・」「犯人許さない・・・絶対捕まえてやるって・・・」「もしも君恵さんがあの時、家のまわりで怪しい人影を見かけていたとしたら・・・」「犯人が沙織さんも狙っていると思っていたとしたら・・・」「もしかしたら君恵さんコナン君の言う通り・・・」

小五郎:「フン、ありゃーきっと自分が死んだと思わせるために沙織さんが君恵さんに着せたんだよ!現におまえは火事の時、沙織さんらしき人影を庭で見てるだろーが!」 File:282

蘭:「じゃあわたし達が庭で見たあの茶髪の眼鏡の人影は・・・」「君恵さんの変装だよ・・・あの焼死体に不審感を持たせ沙織さんを犯人に仕立てるためのな・・・」「祭りの日の朝その恰好で滝の周りを俳諧していたのも恐らくそのためだ・・・」 File:283

度々目撃された沙織は、もちろん君恵の変装。目的は沙織を犯人に仕立てるため。

問題は、倉で見つかった焼死体が沙織の服を着ていたことについて。結果的には沙織本人であるのでそのままであるが、君恵は焼死体が自分のものであると勘違いさせるために、歯形を計画的に偽装している。それならば、沙織に君恵の服を着せて焼いたほうが確実である。

小五郎が考えたのは、君恵に犯人である沙織が自分の服を着せて、沙織は自分自身が死んだと思わせて容疑者から外れようとしたという方法。しかし、歯型を調べるとそれは君恵の遺体であると勘違いさせるトリックを仕掛けているので、二重の引っ掛けというところか。

また、コナンは最初、君恵自信が沙織の服を着て、犯人である沙織をおびき出そうとしたという可能性に言及している。そして、蘭はそれに加えもう一つ、君恵は犯人が沙織を狙っていると考え、その犯人をおびき出そうとしたということも考えた。この場合、君恵は返り討ちにあってしまったということになる。

では、君恵の本当の意図は何だったのだろうか。もしかしたら服を着せ替えるという発想すらなかったのかもしれないが、小五郎、コナン、蘭とそれぞれ違う答えを出していることから、捜査のかく乱が目的か。

もしくは、行方不明の沙織と殺害された二人は儒良の矢の当選者であり、犯人の目的は矢がらみと君恵は思わせようとしていたので、最後に矢を持っていない君恵が殺害されたことと辻褄を合わせるため、コナンや蘭のように考えさせようとしたのかもしれない。

ちなみに、沙織の茶髪に眼鏡、顔立ちなんかはちょっとジョディっぽいところがあり、君恵が沙織に変装というのも、ベルモットがジョディに変装しているとミスリードしていた件を意識していたり、わざとかも。

焼死体の偽装

服部:「なんやて?倉ん中に人がおった!?」

禄朗:「ああ・・・黒焦げだったが、眼鏡をかけて青い服を着ていたのはかろうじてわかったよ・・・」

蘭:「そ、それってまさか・・・」

禄朗:「たぶん行方不明だった沙織の焼死体だ・・・」

蘭:「じゃ、じゃあ私達が庭で見たあの人は・・・」和葉:「ゆ、幽霊・・・」

命様:「君恵~・・・」「どこじゃ君恵~・・・」

服部:「君恵さん・・・まだ帰ってへんのか?」

蘭:「う、うん・・・」

コナン:「おい服部・・・確か禄朗さん、ついこの前歯医者に行ったって・・・」

服部:「あ、ああ・・・ゆうてたで・・・」

コナン:「名前で問い合わせればどこの歯医者かすぐにわかるよな?」

服部:「ア、アホ・・・」「なにゆうてんねんおまえ・・・」

コナン:「とぼけんな・・・今、おまえの頭にもよぎっただろ?」「オレと同じ嫌な予感が・・・」

小五郎:「そ、そうですか・・・わざわざどうも・・・」

服部:「ほ、ほんで・・・・・・」「どうやったんや結果は・・・」

小五郎:「焼死体の歯形と君恵さんの治療痕を照合した結果・・・」「ピッタリ一致したそうだ・・・」 File:281

コナン:(ない!)(ない!)(ないぞ!!)(預金通帳やキャッシュカードやパスポートはそろっているのに・・・)(あれがどこにもない・・・)(ま、まさか・・・)

服部:「あん時、あの部屋から自由に出入りできたんは、殺された奈緒子さんと君恵さんを除いたらオレらの前に来てた弁蔵さんと禄朗さんの二人だけ・・・」「昼間のあの様子からして禄朗さんが君恵さんを殺すんは考えられへんし、他の二人を殺す動機もなさそーや・・・」 File:282

小五郎:「そして服部少年はこうも言っていました・・・」「あの時通夜の席を抜け出せたのは、殺された奈緒子さんと君恵さんを除けば・・・」「禄朗さんと弁蔵さんの二人だけだとね・・・」 File:283

・・・

福井県警:「じゃあ犯人は誰なんだ?」

小五郎:「それは、殺された三人の女性を容易に呼び出せる人物・・・」 File:283

禄朗:「フン探偵さん冗談は止めてくれ・・・」「この130歳の老婆に何ができるって言うんだ?」「それに倉で焼け死んだのは、婆さんの血を引く曾孫の君恵だぜ?」「今まで自分の面倒をみてくれた子を殺すわけが・・・」

小五郎:「倉で殺したのが・・・」「君恵さんじゃなかったとしたら?」

禄朗:「なに?」

小五郎:「あの焼死体の歯形が君恵さんの物じゃなかったとしたらどうですか?」

蘭:「でも・・・君恵さん、歯医者に行ったって言ってたじゃない!その歯形と一致したんなら・・・」

小五郎:「確かに言ってたよ・・・沙織さんと一緒に船で本土の歯医者に行ったってな!」

禄朗:「ま、まさか・・・」

小五郎:「そう・・・歯を治療したのは沙織さんの方だったんですよ・・・」「沙織さんが保険証を失くし、君恵さんのそれを借りて君恵さんの名で治療を受けたのなら、沙織さんの歯の記録は君恵さんの歯形として歯医者の保管される・・・」

「つまり君恵さんは沙織さんの保険証を荷物から抜き取っておき、船に乗った後でない事に気づかせ、丁度持っていた自分の保険証を使うように勧めたんです・・・」「そして治療を終えて島に帰った沙織さんを殺して倉に閉じ込め、後で火をつけて燃やし、沙織さんの焼死体をその歯形から君恵さんだと錯覚させたってわけですよ!」

・・・

福井県警:「し、しかしそれはあんたの推測じゃないのか?」

小五郎:「沙織さんの部屋に頭痛薬兼用の歯痛止めがありましたし、その歯医者に電話で確認を取りました・・・治療を受けた「君恵さん」は茶髪で眼鏡をかけていたとね・・・」

後述する変装と、この歯型が自分自身を死んだことにして容疑者から外れようとしたトリックを見破る重要なキー。

そして、君恵の思惑通り、服部は「あの時通夜の席を抜け出せたのは、殺された奈緒子さんと君恵さんを除けば」と犯行可能な人物が禄朗と弁蔵の二人であると考えていた。

今回の事件、保険証がないことに気付いたコナンだけが引っ掛からずに正しい答えにたどり着いた。まぁ、服部もコナンと同じ現場にいれば同時に気付いたであろうが。

仕組みとしては簡単で、あらかじめ沙織の保険証をこっそり抜き取り、替わりに自分のそれを貸すことで、治療を受けたのが君恵であるとデータに残るようにしただけ。

後に歯科医に確認したところ、「茶髪で眼鏡をかけていた」と証言していることから、警察が歯形の検証だけでなく、歯科医からも詳しい聴取をしていればバレていた可能性があるわけだが…

少なくとも、沙織の居場所がわかっていなかったわけであるので、最後に誰かに会ったとはっきりわかる歯科医に聞き込みに行く必要はあったであろう。

まぁ、素人の考えたトリックであるが、君恵の計画はじっくり調べると気付かれてしまうところがこの件を含め多々ある。

一人二役

福井県警:「じゃあこの事件は君恵さんとこの老婆の共犯という事か・・・」

小五郎:「いや、これは君恵さんの単独犯です・・・」

福井県警:「はあ?」

小五郎:「禄朗さんは知ってますよね?」「君恵さんの特殊メイク技術は金賞を取るほどの腕前だったという事を・・・」

禄朗:(ま、まさか・・・)

小五郎:「誰かそっくりに変装するのは難しいが・・・」「命様が祭りの時のあの厚化粧の顔しか知られていなかったのなら、その難易度は格段に下がる!」

福井県警:「し、しかしいくら何でも背丈までは・・・」

小五郎:「思い出してください・・・三年前、倉が焼けて発見された腰から下の骨が砕けた寸足らずの奇妙な焼死体を・・・」「あれは恐らく足を折り曲げ、ヒモか何かで固定したまま柱に押し潰されて死んだ女性の焼死体・・・」「私の推理が正しければたぶんその女性は君恵さんの・・・」

命様:「母さんよ・・・」「命様の役を・・・」「おばーちゃんから引き継いで・・・」「島のために一生懸命演じ続けた・・・」「哀れな女の成れの果てよ・・・」

禄朗:「き、君恵・・・?」

君恵:「よくわかったわね探偵さん・・・」「このメイク・・・」「結構自信あったのに・・・」

これは今更説明するまでもない。特殊メイクによる変装と一人二役はベルモットの伏線にもなっている。

次ページへ

sponsored link
更新日:2018-3-27
コメントはこちら