【敵か味方か】 安室透の現在の立ち位置

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白か黒か

何を持って白とするか、黒とするかは人によって定義が違うかもしれない。コナンやジンのように、極端であれば迷うことはない。

キールやFBIも白と考えて良さそうである。ただし、FBIは組織の人間は場合によっては殺すこともある。しかし、これは漫画としては正義の範囲であろう。

ベルモットを味方と考えている人もいるようだが、個人的には黒に近いグレー扱いにしている。NY事件以降という前提だが、ベルモットはコナンや蘭一家には危害が加わらないようにしている。それに、一般人を無駄に殺すことも避けているようである。

だが、灰原に対する殺意は本物である。コナン自身は安全であっても、これはコナンにとって味方と表現するのはちょっと違う。

また、ベルモットは殺人の手助け、後押し(脅迫)をしたこともある。(二元ミステリーの狼男)自分に好意を抱いているカルバドスを利用して見捨てたことで、同じスナイパー仲間のコルンやキャンティには恨まれている。

重要なのは、自分が手を出さなくても、犯罪の後押しをしたり、例え犯罪者であっても推理で追い詰めて自殺させてしまったり、自殺(復讐)しようとしている人を見過ごして、その結果自殺(復讐)してしまうことは、それは殺人と変わらない悪であるということ。

ベルモットは組織崩壊を望んでいるとの声もあるが、自ら組織を潰すために働いているわけではない。シルバーブレットであるコナンに期待をしているだけである。

普段は真意がバレない程度にうまく立ち回っているが、組織の一員として働いている。赤井秀一の抹殺にも協力的である。

安室の場合は

白か黒かという判断においては、1つはコナン軍にとって敵か味方かという点、もう1つは人間性が善か悪かという点、そして、もう1つは組織に対抗する立場なのかという点がポイントになってくる。

まず、安室は赤井秀一を狙っている。この時点で、個人的には白の定義からは外れる。赤井を狙っているだけでなく、火傷赤井に変装してコナンと赤井、キールの計画を邪魔したり、シェリーを発見したことを組織に報告して狙いにやってきた。これは真意はともかく、やっていること自体はもうコナン軍に対抗することである。

次に人間性について。安室はキールとはちょっと違う、決してコナンのような正義のキャラとしては描かれていないのはここまでに説明した通り。目的の達成のためなら手段は選ばない性格である。

これは、作者が意図的に伏線としたのかどうかは先に進まなければわからない。安室自身が直接人を殺したりしているわけではないので、読み取れる人物像が冷酷であっても、そのままスルーして話を進めてもストーリー的に大きく矛盾するようなことはないかもしれない。自殺願望のある人を意図的に放置したのが真実でなければだが…

ただし、あの話も「最後のピース」同様に事件が起きなければ目的は達成できないので、類似の策があったと考えられる。その”できすぎた違和感”の説明が最後のピースでの伏線回収。安室は初登場で小五郎の弟子入りに成功しているが、その過程でベルモットが協力してる。事件が偶然起きたことではないのは確かである。

最後に、組織に対抗する立場なのかというところ。これは安室が公安から組織に送られたスパイであるのなら、単純に考えればその可能性もある。

しかし、現在の安室の目的は赤井の始末である。これは諜報活動とは関係が無いように思える。

仮に、安室が赤井を恨んでいる理由が宮野明美だったとしても、それは物語的にはほんの数ヶ月前の話である。そのため、組織に潜入した目的は別にあるはず。

赤井を始末すれば一気に評価が上がり、ジンを押さえてボスのところへ辿り着くことが出来ると考えているのかもしれない。赤井が達成できなかったことである。

これならば、諜報活動と関係ない組織の為に献身的に働いていることの説明はつく。ただし、それでも目的のために手段を選ばない行動はスパイとしてどうなのかとは思うが…

これまでの話の流れだと、安室は宮野夫婦に会っていたり、組織の秘密に大きく関わっているようである。

安室が組織に入った理由については、単純なスパイとしてではなくて、もっと深い理由やきっかけがあるような気はする。それは物語が進まないとわからない。

最初はスパイのつもりだったが、組織の目的に共感して黒に染まってしまったとか、他のパターンも考えられそうである。

安室の過去と関係がありそうなのは伊達刑事絡みになりそうだが、その話は今後語られるようである。↓
剛昌先生の本音 – ホントの声 –

この辺の伏線が回収されれば、安室がなぜ組織にいるのか、その狙いは何なのかが明らかになってくると思われる。

もし、組織を崩壊させるために潜り込んでいるのでなければ黒、崩壊させるために潜り込んでいるのならグレー。いわゆる、正義ではないがその目的は悪を倒すこと。と言った、ダークヒーロー的なキャラとなるだろうか。

伏線の回収

詳細は別項で説明しているので簡潔に。

コナン:「車でひいて大怪我させる気だったかも・・・バーボンは車に乗ってたって言ってたし・・・」「どういう方法をとったにせよ、屋外で事故に遭わせる計画だったと思うよ!」 File:894

これまで描かれてきた安室のキールとは正反対の性格描写。これは、安室は情報を手に入れるために一般人の犠牲を厭わない(澁谷先生を大怪我させる計画であった。)タイプということで回収されている。

赤井:<組織にいた頃から疑ってはいたが・・・あだ名が「ゼロ」だとあのボウヤに漏らしたのは失敗だったな・・・><「ゼロ」とあだ名される名前は数少ない・・・><調べやすかったよ・・・><降谷零君・・・>

ジョディ:「あいつら一体何だったの?」「全然話が見えないんだけど・・・」

赤井:「立場は違うが・・・」「本質は俺達と同じ・・・奴らに噛み付こうとしている・・・」「狼達だよ・・・」 File:897

安室は現役で公安所属。

赤井:「恐らく俺の身柄を奴らに引渡し、大手柄をあげて組織の中心近くに食い込む散弾だったようだが・・・」「これだけは言っておく・・・」「目先のことに囚われて・・・」「狩るべき相手を見誤らないで頂きたい・・・」<君は、敵に回したくない男の一人なんでね・・・> File:897

ジョディ:「バーボンっていえば安室透は本当に秀一を組織に引き渡すつもりだったのかしら?拘束された経緯を秀一に話されたら・・・」

沖矢:「お前らを人質に取られていたから俺は無言を通すと読んでいたんだろう・・・」 File:898

安室はジョディとキャメルを人質に取り、赤井を捕まえ組織に引渡して、大手柄をあげて組織の中心近くに食い込む散弾だった。

沖矢:「俺に対する奴の恨みは・・・」「思った以上に根深いようだ・・・」「まぁ、ボウヤのお陰でこちらの真意を奴に伝えられた上に、俺の居場所もうまくごまかせたようだがな・・・」 File:898

安室は赤井が思っている以上に恨んでいることも事実。

まとめると

・公安で黒の組織へ潜入しているスパイ(黒の組織に対抗する人物)
・一般人を巻き込んでも自分の目的を達成する(もちろん犯罪である)
・FBIを人質に赤井を拘束して差し出すつもりであった(FBIの敵であり赤井の敵、一般人よりましだが黒)
・赤井を深く恨んでいる(灰原を狙うベルモット的立場)

黒の組織へ潜入しその秘密を暴こうとしている公安のスパイであるが、組織内での出世のためにFBIを人質にした上で赤井捕まえ引き渡そうとした。「最後のピース」からもわかるように、FBIとは仲が悪く日本国内で勝手に捜査するFBIとは犬猿の仲。

また、FBIだけでなく目的のためなら一般人の犠牲も厭わない。ただし、純粋な組織の人間ではなく、あくまで公安であるので無意味に人を傷つけることはしない。

ベルモットが灰原に執着するのと同じくらい赤井を恨んでいる。コナンにとって直の敵ではないが、コナンサイドの敵であり、手段を選ばない性格は場合によっては危険が生じる可能性がある。(組織に新一が生きていることを報告したら手柄になることが知られれば、利用される危険もあった。)

組織を倒そうとしている側である点では白であるが、赤井やFBIにとっては敵であると言う点では黒。また、普段は一般人にとって敵ではないが、目的のためには犠牲を厭わないという点で人間性も黒として描かれている。

つまり、白と黒が混ざったグレーなキャラ。立場的には公安であるが、キャラ的に組織の人間であるベルモットとほぼ同じ立ち位置である。

公安と安室の特性 ─

公安やCIAは時に犠牲を厭わない、あるいは敵に対して拷問を加えたり問答無用に暗殺したり行う組織として描かれることがある。まぁ、リアル公安はさすがに暗殺はしないが。

名探偵コナンの世界において、CIAの特徴は一応の説明はちょろっとあるものの、深く掘り下げてはいない。具体的な仲間は登場せず、キールとその父である死んだイーサン本堂くらいしか描かれていない。また、キールはCIAの特長を色濃く待ったキャラかというとそうではなくて、むしろFBI以上に人間としては正義感が強いくらいである。

組織内でキールがどう振舞うかという細かな指示はなく、(そんなことできないが)個人の判断にゆだねられている。例えば、他のメンバーなら任務遂行のためにバイクで少年に突っ込んでいた可能性がある。キールの行動はあくまでキールの人間性を示したものであり、「何があるか分からない~」的なもっともな発言をしつつも、極力悪い事はしたくない、そのために最善はつくすキールの人間性はグレーではなく白である。

一方で、安室は公安としての特長そのものでもある。仲間がモブ的に描かれているところはキールに近いところがある。「赤井を捕まえる」というのは公安としての計画でもあったのだが、キール同様に組織内での行動や赤井の調査方法において細かな指示は出ていないはず。(渋谷先生を大怪我させるつもりであったというのが、上からの命令であったとは考え難い。)安室は部下を率いるだけの権限も持っている。

強い愛国心などは公安所属の人間を表した特徴としては面白いところであるが、組織のやり方とその所属しているキャラの特性はまた別であるということ。

安室がキールと同じであれば、仮に上からの方針があったとしても「僕なら誰も傷つけずにやってみせますよ、まぁ見ててください。」とか、「上にはああ指示されたけど、僕はそんなことしない。上手くやればいいんでしょ。」と描かれる。最低でも「本心ではないが~」と躊躇する描写が必要。そして、赤井とほぼ同スペックの安室なら漫画の都合でそんなことはやってのけることができるはずである。

安室は公安だからと簡単に片付けられるものではなくて、あくまで安室自身がそういう人間として描かれている。

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